with Dam Night at Home

2020/11/11 更新


令和2年、COVID-19のために色々なイベントが中止になったり
急遽、リモート開催になったりしました。

ダム工学会のwith Dam★Nightも各ブロックで次々と中止が決まっていく中
中部・近畿ブロックではリモート開催できないかな〜という話が進んでいました。

今年はダム工学会30周年ということもあり

何もなしというのは寂しいよね〜
現場見学会、できないならかわりに動画で見てもらったらどうでしょ〜
それとアカデミック要素として注目集まっている事前放流についても是非〜
リモートでお客さん来てもらうためにはちょっとやそっとで見られ無い貴重なネタも必要〜
ということで京都大学防災研究所の角先生の秘蔵ダム写真出してもらうとか〜

と、幹事の方々と会議をして川上ダムと安威川ダムに取材に行きました。
その時のレポートは別にしていますのでまた見ていただけたらと思います。

安威川ダム取材    川上ダム取材


という事で安威川ダムと川上ダムの取材を無事に終えた後
名古屋に来ました。


近鉄の新しい特急 ひのとり に乗ってきました。
乗りたかったのでわざわざダイヤ調べました。
普段そんなことしないけど。


近鉄からJRに乗り換えて岐阜駅までやってきました。
織田信長像にもマスク。
ここからまた移動。


これはたしかブレースドリブアーチという型式の橋だと思うけど
橋は難しいので言い切れない自分。


到着したのは国土交通省中部地方整備局木曽川上流河川事務所。


令和2年7月豪雨で飛騨川最上流部と王滝川で
とんでもない雨が降った時の流域のダム操作について
お話をお願いしていたのです。

すでに公開されている
令和2年7月豪雨による 木曽川水系の出水状況(第1報)
での予習はしていましたが、実際に資料を前に
詳しくお話を聞くと目からうろこのお勉強ができました。

自分の認識がアップデートされず硬化しているなと反省。


お勉強させて頂き、ふと、お部屋の壁を見ると
「堤治神社水難御示守護收」

水災除去のお札のようです。
とても気になるので今度お参りしようと覚えました。


with Dam★Night at Home 当日になりました。

少彦名神社の近くに来ております。


リモートの機材とお部屋をわざわざご用意いただいたのです。
ありがたいありがたい。

ZOOMに不慣れな物で6月のダムナイト10では半分くらい
頭が透けていたので…。
今日は透明にならないぞ。

PCのチェックを終えたら
本日のイベントのためにご用意いただいた景品の一部が届いていたので確認。


水資源機構 川上ダム建設所から
「川上ダムの美しいコア」×2基到着。

試作品の文字が入っているのがキモです。
ホントにこれが欲しい人が沢山いると思うので
司会だからといってねこばばしたりしません。
ネタではやりますが。


そしてこれまた欲しい人が大発生しそうな景品。
大阪府 安威川ダム建設事務所から
「安威川ダム ダムカードcollection Ver.1.2.3.」×3セット到着。
11/14の定礎式までVer.3のデザインは秘密だそうです。


お客さんの顔が見えないイベント2回目です。
前回は司会でなく発表者だったからお気楽でした。

とりあえず腹くくる。


with Dam★Night at Home
始まりました〜!!


はじめにダム工学会会長の小長井様より開会のメッセージを頂きました。
御自宅からのリモートで、小長井様の後ろでは、わんこがすやすやしていたそうです

2004年の中越地震の後の山古志村の調査では
等間隔の約4km毎におでこのしわのように応力歪が…というエピソードは
不勉強で全然知らなかったので必死で聞き入ってしまいました。

人が造り出す人工物を英語でいうとArtificialになります。

この語にはart、芸術・美術という言葉が含まれており
もし、かなう事ならば芸術・美術と評されるような美しい物でありたい
という願いが込められています。
今日のテーマの人工物であるダムについても
美しい物でありたいという側面を聞かせてもらえるのかと楽しみです。

と、小躍りしたくなるような素敵なお言葉を頂きました。

はいっ!!
黒部ダム建設にかかわられた皆様からのメッセージにもありました
「構造物にはそれなりの風格がなくてはならない」
と同じですね。

ダムは美しくてカッコいいからファンがたくさんできるんだと思います。

今日は構造物として美しい
川上ダムのフィレットの無い堤体♪
安威川ダムの考え抜かれたリップラップ♪
といった構造物としての風格にかかわる美を意識したダムづくり現場の
素敵な映像が出てきますので
きっときっと、小長井様のお言葉が会の途中でフィードバックされるはず〜♪
と、混乱しながらも思っていました。

◆ ◆


まず一題目は水資源機構 川上ダム建設現場と地元、伊賀の紹介です。
ダムマイスター(一般)仲間のdashelo様と一緒に現場にお邪魔しました。

建設現場の状況は 川上ダム ホームページ を確認してください。

中で紹介している 大村神社 や 川上ダムカレー のレポートも
公開していますので合わせてご覧頂けたらと思います。


配信にコメントを書き込んでくださった方の中から
抽選でプレゼント当たりますよと紹介した後に
川上ダム建設所様御協力の素敵な企画紹介。

  青山ハーモニーフォレスト様ダム関連イベントページ

をご覧ください。
骨材にサインやメッセージという取り組みはあちこちのダムで行われていますが
それがダムのどの場所にあるかということがきっちり示されるって
初めての試みだと思います。
すごいな。

まだ大丈夫だろうと呑気に構えていると
年明けには堤体できあがっちゃいますので。
現場見学はお早めにです。

◆ ◆


続いて二題目は木曽川上流河川事務所のはし所長様から
(高はし所長様のお名前の漢字、難しすぎて平仮名になってます)
令和2年7月豪雨の時に木曽川上流のダム達が
とても頑張ったお話をして頂きました。

何に吃驚したって木曽川水系のダムって
揖斐川・長良川・木曽川で
45基もあってそのほとんどが利水ダムで
洪水調節を仕事に持っているダムは10基だという事。

流域面積でも国内5位という広さ。

このエリアのダムだけでなく
川とダムの統合管理を担ってくださっているのが
木曽川上流河川事務所です。

ダムだけでも大変なのに川が関わってくるととんでもなく大変です。

以前、某地方整備局様から講演依頼を頂き
お話をさせて頂いた時に
“ダムの人”と“川の人”でこんなに意識が違うのかと吃驚したことがあります。

道路(旧・運輸省)の人と川(旧・建設省)の人は畑が違うというのは分かっていましたが
川の人ならダムの事も理解してくれているだろうと思ったら大間違いで
ダムと堤防で視点がそれなりに違うという事を知りました。

なので、これだけの流域でダムと河川(堤防その他)を
統合管理するという事はとんでもなく大変な仕事だっ!!!!
という事を取材の時に感じました。

木曽川水系治水協定の締結はホントに7月豪雨の直前の
5月末であったこととか色々知らないことが次々出てきて
熱心に聞き過ぎて司会の役目、半分忘れてました。
いかんいかん。

◆ ◆


続きまして三題目は大阪府の安威川ダム建設事務所様より
やっとやっと待ちに待った
安威川ダムの堤体盛りたて工事始まったよ〜
という動画です。

2017年の年始に岩盤清掃させて頂いたのが懐かしい。


アーティキュレートトラックとブルドーザーの阿吽の呼吸も最高ですが
あまりにも美しい技に感嘆のコメントが数多く届いたのが
リップラップ職人の妙技でした。

超貴重映像。
素晴らしい。

でも
それだけでは終わらないのです。


リップラップ試験施工の写真です。
左から捨石張工、置石工、捨石工です。

安威川ダムではリップラップの仕上げについて
並々ならぬ情熱をそそいでいました。

というのは都市型ダムであり多くの人が訪れるダムを目指している事
完成したらとても近くからリップラップを見ることが出来る事
地域の人に親しまれるダムサイトを目指している事
等の理由から
・遠目にも美しいリップラップの石材が判別できてロックフィルダムの美を伝えることができる
・ロックフィルダムの敵(?)、リップラップの巨石の間からの雑草の繁茂を抑制できる
・施工で過度の負担をかけない
等々の難しい問題をいくつも検討した結果
生まれたのが今回紹介の“捨石張工+置石工”のハイブリッド・安威川積みだったのです。

※安威川積み は夜雀が勝手に呼んでいるだけで正式名称じゃないです

構造物の風格のためにエンジニアの方が本気で意見をたたかわせた結果が
もうすぐ美しい姿で現われるのかと思うとわくわくが止まらない♪

◆ ◆


そしてあっという間に本日の四題目
京都大学 防災研究所の角先生から
スイスの排砂バイパストンネルと台湾、中国のダムの土砂管理
という、ちょっとこんなの大学の講義でもなかなか聞けないよっ!!
という凄いお話です。

そしてそして
日本一のダムファン、土木系youtuber第一人者の萩原雅紀様
かぶりつきでくらいついて頂きました。
わーい♪

出てくるスライドの一枚当たりの情報量が多くて観ていて楽しくて仕方がない。
スイス国鉄・SBBが保有しているPfaffensprungダムの
排砂バイパストンネルの摩耗についてはこんなにぶ厚い石板を敷き詰めるのかと
吃驚でした。

日本の事例では黒部川の宇奈月ダムも排砂路は30cm近い厚さの
天然石のブロックを敷き詰めていますがスイスは石板…。

かわいいかわいいPalagnedraダムがどうして今の姿になったのか
という説明ではコメントが悲鳴で埋まりました。

個人的にウハウハになったのはOrdenダムです。
流水型のアーチダムで貯水池に牛。
貯水池に牛!!

そして続いて台湾のダムと中国のダムの土砂管理についてのお話をして頂いたのですが

スケールが日本と違いすぎるのでただ呆然。
こんなに砂が来るのにそれをちゃんと出せるダム造るってすごいこと。
ちゃんと作ってしっかり使ってる。
素晴らしい。

しかし小浪底ダム、ゲート多すぎで理解不能。


最後に美味しいものスライド。
白ワインもよいけどやっぱりチーズ♪
チーズ大好き。

という事で皆様の御協力で定刻に終わることができました。
コメントもものすごい数を頂くことができましてほっとしています。

景品の抽選が待ち遠しいです。
私はコメントかけていないので当たりませんが・・・。
しくしく。


実行委員会の皆様、取材にご協力いただいた現場の皆様ありがとうございました。
夜雀はやっぱり、来年はただのダムビンゴ芸人に戻りたいです。