峰之沢鉱山見学 その6


開けっ放しの扉から中を覗き込みます。
「お邪魔しまぁす...」

「はい。どちらさまですか?」なんて声が返って来たらどうしましょう。


入ってすぐ横に台所です。
まだ割れていないガラスの向こうの緑はよく晴れた日なら
この室内を緑色に染めているかと思います。
生憎と今日の陽射しは弱く、お掃除できていないのを
隠そうとしているかのようです。


畳も障子もぼろぼろです。
しかもこれは.....。
畳に直火は絶対やめて欲しいです。


窓の内側にかかっていたカーテンはもうありません。
窓の外にブラインドのように葛が茂っているだけです。


もう一つの棟が障子の細かい桟の向こうに見えています。
ベランダのお布団干しの光景が浮かんで仕方ありません。
やっぱり人の生活の匂いがする廃墟は苦手です。
鼻の奥が熱くなってしまいます。