旧・志津川発電所 見学 その2


見学の約束の時間になったので
そーーーーっと建物に入ります。

別にそーっと入る必要はないんですけど。

入ってすぐの所に建物の案内図が。

この巨大なレンガ造りの建物の川側の棟は吹き抜けの大空間。
山側の棟は2階(中2階あり)の造りになっています。

吹き抜けの大空間には倉庫や屋内実験用水槽
山側の棟には2階に事務所が入っています。

敷地の外にはダム側に屋外実験施設1、
山側に屋外実験施設2があります。


煉瓦の建物ですが内側は白い壁。
レトロな電灯もありますが現役では無いでしょう。
立派な照明が別にありましたので。


吹き抜けの川側の棟から山側の棟を見上げたところ。
中2階が見えています。
事務所は更に上のようです。

同じように古い歴史のある発電所としては
岐阜県の八百津発電所を見学しています。
なので構造に共通点を見つけて一人で納得。


という事でどんどん登ってきたのですが。


吃驚しました。

いきなり建物の中にプレハブが。

・・・・。
建物の中に建物。

吃驚しましたが考えてみれば事務所として効率よく使うには
既存の建物の間取りをそのまま使う必要はないわけです。

物凄く広いフロアだからこそできる技です。

事務所を覗くと職員の方がいらっしゃいました。

御挨拶をするとすぐに会議室の方に通して頂けました。

「おはようございます。本日は当施設の見学という事で伺っております」
「はい。よろしくお願いいたします」
「ご存知かと思いますが当社のこの施設は関電様から建物をお借りしているものですので
建物の歴史などの詳しい情報は関電様の方でご確認いただきたいと思います」
「あ、はい。わかりました」
「水理実験ですが、現在のところ行っている物がございません」
「先月にはダム側のスペースに大きな模型がありましたが」
「はい。納期が参りましたので実験を終了しまして撤去しました」
「そうなんですか〜」

と、ちょっと残念なスタートだったのですが
実験模型より、水理についてお聞きしたいお話があったので質問します。

「以前見学したダムで現場の方にお話を伺っている時に
“このゲートは○○t/s放流できるものなんですが
○○t/s以上放流すると減勢工から水がなくなるんで
○○t/sまでで運転しています”という事を聞いたんです。
減勢工から水がなくなるってどういう事なんですか」


「古いダムですね?」

「はい。割と古いダムですね」

「昔のダムであればそういう事もあるかもしれません。
放流能力に合わせて減勢工の改修が必要ですね。」

「あ、そうですそうです。減勢工の壁を高くしないと・・って仰ってました」

「減勢工の水が無くなるというのはウォータークッションが利かない状態になるという事で
“減勢”の意味がなくなることを示します。最近のダムではそういう事はないと思いますが
古いダムでしたらそういう事もあるかもしれません。
その場合は“減勢”させるために減勢工にシルを設置したり
減勢工の壁を高くするなどの対策をとることが必要になります」

「ふむふむ」

「水が放流の勢いのまま下流に流れるとダメなんです。
(減勢工というプールには放流すればその水が壁に当たって跳ね返って
波が立ちます)波の高さも殺してしまわないとダメなんですよ」

「波もですか〜」

「副ダムを滑らかに水が超えていくようにしないとダメなんです」

素人が中途半端に理解している事をきちんと説明して教えてくださる。
さすがプロ。

他にも排砂水路やコンジットゲートのデフレクター
クレスト放流時にコンジットゲート側にかかる水圧など
大変興味深いお話をお聞きして嬉しいけど脳みそパンク状態。

ああああ。
ちゃんと基礎から勉強したいなぁ。
こういう社会人講座とかってないもんかな。


と、色々なお話を伺った後、施設見学へ。
川側の棟の大空間です。

ここには発電機が並んでいたのです。