明延東部鉱区の冬 その4
足元のコンクリートは水溜りこそ在りませんが
しっとりと塗れています。
ティッシュペーパーを落としたらすうっと透き通るように
張り付いてコンクリートの白ぼかしの色に染まるような
そんなうっすらとした湿りがありました。
そんな床に手を近づけると徐々に指先に冷たい空気が
押し寄せてくるのが分かります。
建物の東側の窓です。
こちらは北側の窓。
何度も繰り返し、凍りつき、湿って結露をつくり
塵埃が流れて出来た涙のような汚れが割れた
ガラスに残っていました。
一瞬強く差し込んだ光に湿度で化粧板の隅も捲れ上がった
ひとつの机の上のパーツが照らし出されました。
音もなく湿った冷たい空気だけが凝っている部屋に
吹き込む風はありません。
雪を踏みしめ車に戻りました。
行く手はこんな状態の雪道です。
ふんわりこんもり積もったまま凍っている根雪。
中々ガードレールもなく道幅もはっきりせず
山肌ぎりぎりを進みます。