養老天命反転地 その4


壁に食われた家具でもソファーの類は全部FRP製。
なので座ったりすることは可能ですが全く落ち着かない。

「なんか予想していたのと違う」
「どう違うねん?」
「パーク全体が白浜エネルギーランドの吃驚ハウスやと思っててん」
「あー。違うな〜」
「ここは広いし錯覚が起きへんもん。
樹木は重力に正直やし屋外やし
視覚情報で惑わされることが一つもあらへん」

「転んでへんもんな」
「これだけ危険な情報が五感から入ってきたら慎重になるから転べへん。
うー。ころころ転ぶの期待してきたのに」

「転びに来たんかいっ」
「楽しく転びたかってん」


明らかに転んだら打撲骨折するであろう危険なフィールドで
楽しく転べるほど転倒マスターではないのでどうしても慎重になっております。


うろうろしていると家族は変な場所を見つけて侵入していきます。

絶対ここも中が狭いに違いないと続いて入るのを躊躇していたら

「真っ暗やー」

という家族の声。
でも心配しない。
いつもポケットにライト標準装備の夜雀家は暗闇でもおたつかない。

出てきてから入れ替わりで入りましたが
ここも床が平面でない上に照明はもちろん無し。
しかも通路は均等幅ではなくいように狭かったり
足元には水たまりで子供だったら泣くぞという場所。

芸術家、容赦なし。


窪地を取り囲む壁には何箇所か外と通行できる穴があります。


そこを入ると普通のコンクリートが。


バットレスダムのようでいい感じですね〜。

「和む〜♪」
「なんでここで和むねん」
「このコンクリートスラブと扶壁の安定感
見慣れたコンクリートの風景が心を癒してくれる〜」

「おかしいわっ。普通はコンクリートより緑の森で和むもんやろ」
「それももちろん和むが意味不明のコンクリート見た後だと
殊更に普通のコンクリートが恋しくなるわ〜」

「アホか」
「フェチじゃ」


こんな座れない椅子では私は和まない。
癒されない。
虚構過ぎてむしろひく。
でもここでお弁当食べるとかはいいと思う。


しかしとことん身体にに優しくないテーマパークです。
それが狙いでしょうから芸術家狙い通り。