博多ぷらぷら その3


頂いた資料のうち
平成24年7月3日、12日〜14日 九州北部地方の出水概要-速報版-
のページを開いたところです。

この期間の降雨状況、出水概要の綺麗なまとめ。
しかし見ていくとあまりに凶悪な雨の降り方にぞっとします。


今回注目して活躍の様子を見るのは耶馬渓ダム。
耶馬渓ダムのパンフレットにあった図です。


中々見られない耶馬渓ダムの下流真向き写真を
管理所の方からお借りしちゃいました♪

耶馬渓ダムはちょっと変わったゲート配置が特徴的。
堤体の中央付近にあるのはオリフィスゲートとコンジットゲート。
そこから導流壁をはさんで右岸側にあるのがクレストゲートです。

常用洪水吐であるオリフィス、コンジットゲートと
非常用洪水吐のクレストゲートは副ダムも減勢工も別々になっています。


厳木ダムもオリフィス、コンジットゲートとクレストゲートの位置が
センターにまとめられることなく違う場所に配置されていますし

大山ダムもゲートレスですがやはり違う場所にあって
堤体の下で側水路でまとめられています。
九州オリジナルデザインなんだろうか?
工事時のトレンドだったんだろうか。
地味な謎。


これは7月3日の耶馬渓ダムの洪水調節効果の速報。

ハイエトグラフとハイドログラフが載っていて
流入量と放流量、時間雨量と累加雨量も載っている。
しかーし
ダム湖貯水位が載ってなーいー!!

この降雨で耶馬渓ダムはただし書き操作に移行する可能性を考慮して
通知していました。

しかしその後、ただし書き操作に移行することなく
本則操作で乗り切りました。

でもね〜
ダム湖貯水位がないと〜
その攻防が〜
読み取れないの〜

という事で詳しくお話を聞きに来たという。

◆ ◆

「山国川はどちらかというと前線性降雨より台風性降雨で洪水が多く起きる川です」
「ふむふむ」

「山国川本川は流域面積が540km2あり
そして耶馬渓ダムのある山移川の集水域は89km2です」
「げっ
残流域、物凄く広い…
山国川には他にダムはないし
支川にある耶馬渓ダムが凄く頑張らないといけない環境なんですね」

「平成24年7月3日の出水ですが
4:40に大雨・洪水警報が出て、5:30に管理所は防災注意体制に入りました。
6:00頃から雨域が接近し降雨が強まり
6:30にはコンジットゲートからの放流が予想されるため、防災警戒体制に入りました。」
「おおっ。明け方の一時間くらいで一気に空気が変わったんですね」

「この時、オリフィスゲートは自動で作動開始しています」
「自動?体制に入ってますから管理所に人はお越しになっていますよね?」
「オリフィスのゲートはプログラムで自動で動く物を採用しています。
なので管理所にもちろん職員はいてゲート動作も目視で見ています。
35.0m3/sまではオリフィスゲートで対応しました」
「なんと!!プログラムで動くゲートですか。遠隔かと思っちゃいました」

「しかしすぐ急激な降雨でコンジットゲートの放流を開始しなくてはならなくなりました」
「3.9mm/hからいきなり47.9mm/hって鬼のような降り方ですね」
「コンジットゲート2門を流入量に応じて開けていきまして
7:50から260m3/sで一定放流の洪水調節を開始しています」
「本則操作通りの260m3/sピークカットですね」
「その後の2時間、60mm/h超の雨が降り続きました」
「60mm/hが2時間って怖すぎますっ」

「9:00にただし書き操作申請(3時間前通達)をしています。
最大流入量は9:29で1107m3/sです。」


これは当日10:00頃のCCTVカメラの画像です。
とんでもない水位になってます。
耶馬渓ダムが必死で頑張ってるけど本川の流況、容赦ない。

こちらも10:00頃のCCTVカメラの画像です。
川の横の道路が完全に冠水しています。
耶馬渓ダム下流、山国川の本川では堤防が高いところと低いところがあり
整備を進めたくてもなかなか難しいというほかの川と同じ悩みを抱えています。
谷間で川の横に道路、道路の横に家という平らなところが少ない山間部の悩み。

「11:00 突然、ぴたっと雨が降りやみました」
「ホントに急にレーダーから赤色消えてますね」

「11:30 ただし書き操作回避通知を出しました」
「雨が降り止んだので回避できたんですね。よかった…」

「ダム湖貯水位は12:14にEL170.81mになりました。この出水の最高水位ですね」
「洪水時最高水位はEL175.00mだから後4mちょっとだったんですね。
でもあと1時間60mm/h級が来ていたらと思ったら…
ホントに降りやんでよかったです」


そしてこちらは7月14日の梅雨前線。
総雨量で7月4日を上回ったそうです。


嫌ーな二山出水。
しかも二山目の方がでっかいのがすごく怖い。


好き勝手にコメントつけてみましたグラフ。

平成24年7月九州北部豪雨については
土木学会の調査団が現地入りして詳しいレポートを公開されていますので
こちらでも詳しく勉強できます。
→「平成24年7月九州北部豪雨災害土木学会調査団報告

◆ ◆


と、たっぷりお勉強した後、合同庁舎から出てきました。
建物全体から残業の空気が漂っていました