横瀬川ダム 見学 その2


謎装備・堤体側水路。

普通の側水路はダムの直下に多くはダム軸と平行に設けられて
減勢と導流を行うプール状の構造物です。
ゲートからの放流水を受け止めて下流河道に安全に水を導く役目があります。


石川県の辰巳ダムです。
側水路と堤体のエプロンの接続部に、横に、ぴしっ!と
段が設けられているのが分かりますでしょうか。
シュートブロックになります。
勢いを弱めるのに大事なパート。

国内で堤趾導流壁がどんどん選ばれる様になった時代の先駆け
「堤趾導流壁&側水路」に「直線流下の副ダム&減勢工」を
組み合わせ全てをコンパクトにすることに成功した龍ヶ鼻ダムです。
どちらの水の流れも学べるのが良いです。

よく耳にする“側水路”は、天端側水路の方かもしれませんが
国内で天王・石井・宮ヶ瀬・比奈知にしかないレアな代物です。

天端側水路は、位置から考えてわかるとおり、減勢よりは導流がお役目ですので
堤趾の側水路と一緒だと思ってしまうとちょっと…ちょっと違和感。


堤体側水路の壁までフーチングの段があります。
堤体右岸側はわずかに曲がっています。


左岸側で水が出ているところがありました。
多分、利水放流管の水かと思われます。


しかし

ダム軸に平行に、ダム軸に垂直に
施工がものすごく大変な型枠職人泣かせの
堤体下流面の斜めのコンクリートに対して斜めに走る壁をつくることをやめ
施工しやすく波返しも無くして極めて施工しやすく工夫され
役目を果たせる構造になっているこの堤趾導流壁のカッコよさたるや!
素晴らしいっ!


他のダムでも今後、採用されていくのだろうか。
堤導流壁の変革の分岐点かというくらい凄い。


しかし、超カッコいい堤趾導流壁に対して
理解が難しいのが堤体導流壁。


とりあえず近くに行かねば。
近くからじっくり見なくては。
傘をさしたまま天端を進みます。


うぉーー。

アールヌーボーよりアールデコ大好きな人間の心に
ぷすぷす刺さる魅力的な壁。

たまらんカッコよさ。


堤体側水路。
それ、絶対、型枠大変だったやつ。
その越流部のごっつい波返し、絶対、型枠職人さん泣いたやつ。
めっちゃ大変な構造に見える。


直下の川にあるこれは何なのだろうか。
何を守っているのか。
何を守るために左に導流しているのか。

位置から考えるとこの先には保全対象の滝があるので
滝を守るための壁なのか。

わからない。

後日、関係者の方にお聞きしたところ
この写真は上から見ているので分かりにくいですが
仮排水トンネル(閉塞済み)の末端の流路だそうです。


天端にはこんな風にバルコニー部分が造られていて
上下流ともに景色を楽しむことができるようになっていました。
楽しむ景色とはもちろん堤体ですが。


意味不明。

でも問答無用でカッコいい。

反則だ。
それは反則だ。
カッコよさで全部、チャラにする気なのか!
ずるいぞ横瀬川!

と言いたくなるほどカッコいい。