横江頭首工 見学 その4


右岸から見た堤体です。
手前の水の色が凄い綺麗で水量がとにかく多いしわくわくします。


同じ場所から下流を見た所です。

広い川幅。
豪雨の時にはこの川幅いっぱいに水が流れます。


魚道です。
緩やかで長ーい魚道。
沖縄であまりにも個性的な魚道を見たのでスタンダードが新鮮に感じます(笑)


真ん中のゲートを見ていると
異様にでっかくてとんがったスポイラーが気になります。
こんなにとんがったスポイラー、見たことないです。
普通はもう少し三角形が平べったいのですが。

そしてゲートを越流している水は一段おいて鋼製スクリーンに到達する様です。

「あのスクリーン、形が形なので最初に見たときチロル式取水かと思いました」
「(笑)違います。あれは洗掘を防止するために設置したスクリーンなんです。
洪水吐のすぐ下にあるのが傾斜スクリーン、もう一段下にあるのが水平スクリーンです。
ご覧になったかもしれませんが常願寺川は流れてくる岩も非常に大きいものが多くて
堰堤が激しく痛むんですよ。
それでこのスクリーンを設置したところ被害がずいぶん減ったのです」
「わぁぁ♪それ凄いですね〜効果絶大なのですね」
「鋼材の表面にゴムを張っている事で衝撃を吸収してスクリーン自体の痛みも減るのですよ」
「コンクリートプロテクターにはやっぱりゴム材が有効なんですね」
「越流部の下にこういう形で在るのはここだけじゃないでしょうか」
「おぉ!!ここだけ!!これの名前はっ」
「・・・いや、普通に鋼製スクリーンですが」
「そんな地味な。ここにしかなくて効果絶大で凄いお仕事しているんですから
鋼製傾斜スクリーン常願寺モデルとかカッコいい名前つけてください〜」

「・・・え?」

と、いつものようにはしゃいで騒いで職員さん困惑される。


ゲート部の下流の構造も越流部の形状と同じく個性的です。

左岸は砂防堰堤と同じゲートレスの固定堰。
副ダムにスリットが入っていますね。

真ん中が洪水吐。
傾斜スクリーンが有るのは洪水吐だけです。
この写真では映っていませんがもう一つ手前にあるのが土砂吐となります。

「川の中から火が出るといわれる位の出水が有るんですよ」
「火が出る?」
「凄い量の岩が流れてくるので水の中で岩と岩がぶつかって火花が散るんです」
「火花が散る!!」
「私も見た事が有るんですが本当に怖いですよ」

土石流ではない出水でも大量の岩・土砂が流れ下る常願寺川。

大きな岩が水と共に流れ下る事は下流の被害を大きく左右します。
大きな岩をいかに上流部に留め置くことができるかが大切です。
下流には水と共に流れやすい小さな岩や土砂だけにして
被害を抑える事は砂防にとっても大切なことなのです。

「1969年の出水ではこの上流の小見でも被害が出たんですよ」
「小見って・・北電さんの常願寺電力部のある所ですよね」
「はい。あの敷地の下流側半分くらいに北陸電力の社宅が有ったんですが
69水害で流出したんです」

40年前にはまだこの場所は暴れ狂う川の災禍を抑えきれずにいたのです。
1969年というと北電の王者・有峰が竣工して初めて
クレスト放流を行った時として自分の中には記憶されていました。

それは常願寺川に凄まじい災禍をもたらし
立山に69谷という新しい崩壊地をもたらした災害でした。


スクリーンがよく見える所に移動します。
写真左中央に表面をゴムで覆った傾斜スクリーンがあり
それ以外は水平スクリーンとなっています。


吃驚したのはスクリーンに載っている石と流木のサイズ。

タイヤが丁度流れ着いていたので大きさの比較によいかと思います。
タイヤ位の石がごろんごろん。
突き刺さっている流木も灌木というレベルではありません。

この横江頭首工が完成してまだ少ししか経っていないのですが・・・。


これは横江頭首工のパンフレットに載っている洪水吐ゲート部断面図です。
水は何段もの段を繰り返し落ちて減勢され
大きな石はできるだけ下流に流さないように
堤体を痛めつけないように工夫されています。

スクリーンもですがこのデザイン自体が常願寺スペシャルです。

水色で描かれているのは旧・横江頭首工の施設です。
増改築なんですね。