横江頭首工 見学 その5


パンフレットにあった完成予想図に書き足して見ました。
右岸から取水ゲート・魚道・土砂吐・洪水吐・固定堰(砂防)と盛り沢山。


説明を受けていてぎょっとなったのがこの説明でした。
パンフレットに書いてあった諸元なんですが型式に注目。

「・・・フローティングタイプって…どういう事なんですか」
「いや、堤体が岩盤に着いていないという意味だけでそんな変わったものじゃないですが」
「岩盤に着いていないとは?」
「ここは旧・頭首工の上に新設しているんですがこの場所自体がもともと堆積した砂礫の上になるんで
岩盤に着いていないという事でフローティングと」
「あ、では岩盤の上にはないけど自重で安定しているってことですね。
あ〜吃驚した。フローティングとか書いてたら浮かんでいるイメージで(汗)」

かなり吃驚したんです。
常識的に考えて常願寺川にそんなやわなもの作るはずがないってわかってても。


さて洪水吐ゲートの上にやってきました。
37.0mもあるゲートです。
シェル構造フラップゲート。


こんなにとんがらせる必要があるのかというくらい
とんがっていて、しかもかなりでっかいスポイラー。
常願寺川にはこの位の物が必要という事です。
出水時に押し寄せる水は半端な量ではありません。


そして左岸にはゲートレスの固定堰部分。
しっかり土砂を食い止めて急傾斜を緩傾斜にします。
これ重要。
緩傾斜にする事で大岩の転石(岩)が下流に行かないように食い止められます。


土砂吐ゲートです。
こちらは洪水吐ゲートの半分くらいの幅。
でも高さはこちらの方が高いです。


手前が土砂吐ゲート。
立っていて越流はしていません。
写真奥にあるのが取水ゲートです。
間には魚道があります。


真新しい記念碑がお日さまの光を浴びていました。

この場所で職員の方がしばらく考えて口にされた言葉が有りました。

「この頭首工は田畑に水を送るだけが仕事では無いんです。
水道用水も確保しています。
上流の北陸電力さんのダムはご覧になってきたと思いますが
ここで取水した後にも発電所があって発電にも活用されています。

そして用水路の流域にお住まいの方には
洪水の災禍が及ばないようにという事もですが
日々の暮らし、水のある生活、庭の木や花の水やりにも
頭首工の水は使われています。

流域の皆様の為に頑張っているんだという事を知ってほしいんです」

ゆっくりとぽつりぽつりと仰る言葉に
この頭首工にかけられている期待の大きさと
それに応えようとする姿勢を感じました。

市街地化の進展に伴って減少が続く農地
灌漑用水の重要性が理解されなくなってきているのかなと
聞いていて少し胸が痛くなりました。


右岸から天端を見通したところです。

こんなにお天気が良くなるなんて。
天気予報大外れ。

立山の神様がきっと

頑張っている横江頭首工をしっかり見なさいと

晴れ間を用意してくれたんだと勝手に理解しました。


出来たての横江頭首工。

その堤体の下には今まで頑張ってきた旧・堤体があります。

国内屈指の急勾配河川
国内有数の暴れ川

立山カルデラの脅威にさらされながら
使命を全うするべく造られた新堤体

常願寺川の歴史を知り
富山平野が素晴らしい米どころとなるために続けられた直轄事業を知り
今ある水の恵みを知る事ができる。

立山にお越しになる際にはぜひ立ち寄って見学していただきたい横江頭首工でした。