八汐ダム 見学 その3


お天気最高で湛えられた水は美しく青く
堤体を覆うアスファルトは黒くそして静か

ここでしか見られないこの色

見とれるほど綺麗なこの風景に頭からっぽで写真撮りまくり。


ちょっと落ち着いて構造を理解しなくては。
これは説明の時に見せて頂いた八汐ダムのパネルです。

「八汐ダムって鞍部ダムあるのですか」
「いいえ。ありませんよ?」
「ここって何なのですか」
「これは原石山です」
「あ、原石山なのですか。ここにあった山がぽこっと堤体にきたわけですね」

原石山の位置です。
ぽこっと山が移動するかよ…
というツッコミはなく、東京電力の方はさらりと聞き流してくださいました。
関西人、発言に気をつけろと…


八汐ダムの断面図です。
これまた綺麗なシンメトリーな断面図です。

しかし見ていると色々疑問が湧いてくる。
普通はフィルダムって上流面の方が下流面より勾配が緩やかなんです。

「法面勾配は1:2.0なんですか」
「はい」
「上流も下流も同じなんですね」
「そうですね」
「それも不思議です、がこの勾配ってこの型式のダムには最適という事なんでしょうか」
「といいますと?」
「先日、国内初100m超級ロックフィルの御母衣に行って来たんですが物凄く勾配がきつかったんです。
電源開発の方にお聞きしたところ1:1.75との事でした。
で、最新のロックフィルである徳山の勾配はというと1:2.25ですごく緩やかだという事だったので
最近のフィルダムはこの位の勾配が良く選ばれるのかなと思っていましたから
1:2.0というのは少し急かなと感じたのです」

「八汐の場合は、アスファルトで覆う施工機械の能力とも関係してきますので」
「なるほどー! それでこの勾配なんですね」

電力会社の方でも土木の方が凄いなーと思うのは
私がホントに頭の中でぽわんと浮かんでくる素人疑問をそのまま
考え無しに口に出しているのに吃驚するほど的確に質問に答えて下さることです。
すごいなーすごいなー。


そしてこれが八汐ダムの監査廊に当たる部分の断面図。
何故、カットオフという名前なのかは不明。聞きそびれました。
堤体周囲をぴしっと監査廊で囲っている事になります。

フィルダムにおいて監査廊というのは堤内水と浸透水の捕獲に重要という事です。
ここではこの部分が端っこでその役割を担っているわけですね


で、これが主役かも。
表面を覆うアスファルト断面図。

なんと37.0cmもの厚さに均一に敷き詰められています。
これをこの面積にって凄い技術だ。


八汐ダム見学の後に見せて頂いた塩原地下発電所においてあった展示資料。
八汐ダムのアスファルトの骨材をそのまま持ってきた物です。

何層にも重なったアスファルトは骨材の種類が性質によって7種類にも変えられています。
いかに柔らかいアスファルトで表面を覆うかが大切なのだそうです。
だって真黒ですから。
太陽熱の吸収による熱膨張も白いコンクリートとは一味違うと思います。


皆が電気のケーブルについて詳しいお話を聞いている間に
お前はこっそり何をしているのか。
勝手に展示物の蓋を開けて撮影しているという…。

でも許してくれた東京電力の方に感謝感謝。


ということで
このアスファルトの真っ平らな面には凄い技術が隠れているんだよという事を言いたいのです。
美しいだけじゃないんだよ。