旧八百津発電所遺構 見学 その4


2004年の訪問時、そーっと中に入ると
資料館の中の人が丁寧にご案内をくださいました。


広い空間に鎮座する発電機。
そして大きな空間に光をいっぱいに取り込んでくれる美しい窓。


とても瀟洒な作りです。
天井を支える鉄骨の細いこと細いこと。

この美しさを残したまま耐震補強というのはとても難しいと思われます。
どうしても剛性の高い鋼材をどこかに入れなくてはならないでしょうし。


でもそんな耐震工事をしてしまったら
この白い美しい空間は全然違うものになってしまいそうです。

武骨な水車のケーシングと発電機を覆う繊細な建屋。


電業社製の横軸フランシス水車です。

竣功時の水車はモルガン・スミス社製で調速機はロンバート社製でした。
しかし
「明治44年の発電所落成時の検査の際に
調速機の動作が不完全で水車の速度が超過し
水車のゲート弁を閉じようとしたところケーシングの上部、片側が破裂。
発電所内に水があふれ出し、検査にかかわっていた
技術者2名が犠牲になるという事故が起きた」
と記録に残っています。

こんなに頑丈な水車のケーシングが破裂するというのは
にわかに信じがたいのですが、それが水の力の恐ろしいところです。

原因は水槌(ウォーターハンマー)現象であろうとされています。


天井は内側が白く塗られているためか
窓からの陽光が白い壁に反射して照らしているのか
細い鉄骨とあいまって他の古い発電所でも見たことのない
繊細な作りでした。


白い壁と武骨な機会と木製の階段という組み合わせ。


高い所につりさげられた笠付電灯はちょっとした仕掛けがありました。


壁に着いているハンドルをくるくる回すと降りてくるのです。
こうして電球の交換ができます。
笠の上の方にある丸い部分が電極で
天井のソケットに接続して初めて点灯する仕組だと
実演していただきました。