山須原ダム改造工事現場見学 その2

改造工事がどのように進むのかイメージ写真。


まず、ゲートを大きなものに付け替えるために
堤体を削っていかないといけません。

工事中も発電のお仕事は休めませんので
貯水池にはお水を貯めたまま。
水位は少し下げられて運用されますが基本的にお仕事しながら。
なので仮締切が必要になるのです。

改造工事が進むのはダムの中央部分。
なので8門あるうちの両端の2門ずつはそのまま。
真ん中の4門を撤去して大きなゲートとそれを支えるゲートピアを作ります。
両側から3番目のゲートは取り外しておいて中央の大きなゲートが備え付けられた後また戻されますので
完成したら7門のラジアルゲートのダムになります。


現在はこの状況。
仮締切が完成しているので堤体を切っているところです。


最終的にこんな形になります。
中央にすっごく大きなゲート。
左右に現在のサイズのゲートが並んでいます。

中央のゲートがすごく大きいのでそれを支えるピアと合わせて
現在のゲート2門分の幅を取るわけです。


ということで湛水したままの工事に必須の仮締切。

T0514の時のようなとんでもない雨が降っても壊れない
ものすごく堅牢なものが必要になりました。

それを作るために湖底のボーリング調査を始めたところ…


堤体のすぐ上流側に、ダム軸方向に平行に
とんでもない流木が貯まっていることが分かったのです。
根っこ付きの巨木がこれでもかと堆積していました。

こんなものの上に堅牢なものを作れるはずがない。
とにかく全部取らねば!


どっかどか引き上げられる巨木流木。

そしてこの撤去中に現場の方の脳裏に走った嫌な予感。

T0514災より前にやはり上流で大きな被害が出た洪水がありました。
その時の流木も同じように堆積しているのでは…


ということで調べたら予想通り
昭和57年に起きた洪水の時の流木がこんなにどっさり貯まっていたのです。
水中だから腐食しないはずなのに一部は腐食もしておりこれまた引き上げるのが大変。

昭和57年というとすぐにT8210災を思い浮かべてしまったのですが
この多量の流木の原因となった災害はT8210の後にきた
T8211とT8213によるものなのだそうです。
また勉強しよう。

ということで仮締切を作るためにダム湖浚えをしなくてはならなくなり
これら全部を除去してからやっと仮締切着工。
工期が延びたのはこういう事情があったからでした。


そして工事中に洪水が来た時の対策として
仮締切の上にはフラップゲートが設けられることになりました。


それがこのSR堰です。
スチール&ラバー堰。
ダブルチューブの最新型。

そして改造工事中だけの設備なのに
なんと国内最高の4mの高さを誇るSR堰なのです。

国内で設置されているSR堰は最大でも3m級。

しかしここには4mの物が必要でした。
九州電力の方は大学や土木研究所などのお墨付きを頂き
特別に認可されたこの4mのSR堰を設置されたのです。
西郷ダムの方では工事が進んでいるのでもう撤去してしまったとのこと。

これはもうこの工事期間中しか愛でられないすごい物なので
バスから降りるなり駆け寄ろうとしたのはそういう理由もあってのことでした。