with Dam☆Night2022 その2

第二部は日本を代表するゲートメーカー様から
愛好家の推しゲートについて熱く語ることに解説をいただきつつ
ゲートメーカー様のイチオシゲートについて講義をいただくという
構成です。

第二部で自分がどうしても推したいと思っていたのが
九州電力様の山須原ダムでした。

令和4年6月11日、改造工事が完了して安全祈願祭が執り行われました。

改造工事で備わった超巨大なラジアルゲート。

ラジアルゲートの扉体面積、国内最大のタイトルホルダーであった
関西電力様の出し平ダムのラジアルゲートを超えました。

出し平ダム クレストラジアルゲート 10.700m×18.751m  200.64m2
山須原ダム クレストラジアルゲート 13.697m×15.533m  212.756m2

2018年8月上旬に見学させていただいた山須原ダムです。

山須原ダム改造工事の凄いところは
扉体面積日本一のラジアルゲートを装備することもですが
・発電を続けながら(貯水位を保ちながら)工事が行われたこと
・工事中も出水の規模によって通砂が実施されていたこと
・新しいゲートは通砂運用のための特別仕様であること
などがあげられると思います。


写真の左に写っている2号ゲートの扉体は隣の1号ゲートと一緒に
工事中も取り外されずに仕事をしていました。

写真中央の扉体は3号ゲートです。
新しいゲートのピアが完成するまで取り外されてお休みしていました。
再び取り付けられる前に綺麗にしてもらってぴかぴかです。
元々のラジアルゲートはこのように扉体の貯水池側、スキンプレートに
巻揚用金物でワイヤーが取り付けられており
巻揚げ機でこのワイヤーをくるくる巻き取って開閉する仕組みです。

既設ゲートを見た後に、今回の新設ゲートを取り付ける堤体の中央を見て
遠近感が狂うとかそんな簡単なものではない何かがおかしいという感覚に襲われました。
どれだけ巨大なスペースなのかと目を疑ったのです。
まって…
この大きさ、変
こんなに大きい空間にゲートが一枚で収まるって変
絶対、変

いや、船明ダムのローラーゲート見てるし今渡ダムのローラーゲートも見てるし
巨大な鋼製ゲートは見てきたけど全部<ローラーゲートだったし!!
出し平ダムでは半分水に隠れていたし真正面から見たわけではなかったから
実感、薄かったのかもだけど、この大空間を一枚のラジアルゲートでふさぐって
スケールが違いすぎる!!

3号ゲートと同じように取り外されてお休みしていた6号ゲートと
その向こうに7号、8号ゲートです。
新設ゲートはもともとの4号、5号ゲート二つ分の大きさなので
ゲートナンバーが新たにふりなおされました。
この超巨大新設ゲートが4号ゲートになります。
一緒に出演して頂いた磯部様にお聞きしたところ
鉄道でも、混乱を防ぐためにホームが廃止されても番線は変更しないことがほとんどだそうです。
ダムは管理者様しか操作にかかわらないから番号ふりなおしても混乱しないわけだなと。

そして仮締め切りの設備で除却されてしまったのですが
ここにも日本一の扉体がありました。
ダブルチューブのSR堰で4mという特別仕様でした。
仮締め切りに使用するために特別に計算して安全基準を満たして設置された
特注ワンオフ物でした。

この見学をさせて頂いた時の新設ゲートは
油圧シリンダーがもう設置されていて
スキンプレートが取り付けられるのを待つばかりの状態でした。

これは当日、IHI様がご準備くださったスライド写真です。
工事中には何度も出水がありましたがスキンプレートの据付完了後の
この平成30年24号台風(T1824)の出水が最大だったそうです。
工事現場に襲いかかる1500m3/sの水。

T1824が耳川の上に乗り込んできた平成30年9月30日の天気図です。

衛星画像がこちらになります。

9月30日の11:30のCバンドレーダーです。
宮崎県、真っ赤っか。

雨雲の塊が耳川の上に大雨を降らせています。
このとき、山須原ダムは工事中でしたが
耳川では通砂が実施されていたのです。

耳川水系通砂関連情報のページ。
通砂が行われている時だけ、各ダムの水位と模式図
ライブカメラの映像が配信されるのです。
9月30日の19:00の西郷ダムの様子です。
このときは1172.67m3/s流しています。

ライブカメラはこんな感じで見られます。

10月1日am05:30のダムの様子です。
この後am07:40に通砂が終了しました。

通砂が終ればゲートを少しずつ閉めて水位を回復させていきます。

令和4年の梅雨前線からは通砂を行う際には
山須原ダムのライブ映像も見られるようになるんですね。

おうちで安全な場所からダムを応援。
とてもよいことです。
大雨の時、川に近づいてはいけません。