with Dam Night 2021 その1

2021/7/14 更新

COVID-19で世の中の楽しいイベントが
色々制限されてつまんなーい
でも感染対策、大事ー
という事で、昨年のwDNは
ダム工学会中部・近畿ブロックの
「with Dam Night at Home おうちでダム」だけの開催でしたが
令和3年は本家の帝都のwDNもオンライン開催になりましたー。

ぱちぱちぱちぱち♪

で、

例年、wDN中部・近畿ブロックではダムビンゴ芸人で参加している自分ですが
今回は久々にスピーカーで出ることになりました。

そして降ってきたお題

お題を頂いた時
メールの画面を見ながら
どうしよう…これ…難しい
と、なりましたがなんとかお題にあった事例を探し出しました。

ダムの再開発工事とダムの設備更新や災害後対策工事が
ダムをよく知らない人にごっちゃにされているので
まずは再“開発”を名乗るからにはそれなりの定義があるという点も
説明しておきたいなと思いました。


これは耐震対策工事です。


堤体の嵩上げは代表的な再開発工事です。


ゲート新設も再開発工事です。


貯水池配分が変更され他の割合が増える場合も再開発のようです。


これは操作・運用変更です。
既存の設備の高度管理、高度操作で対応している場合も
ソフト面での再開発といわれる事には個人的にはしっくりきませんが
「広義のダム再開発といえると思いますよ」という
ダムの専門家の方からお聞きした説明で一応、納得。

なので再開発(ハード)と運用(ソフト)もふくめてダム再生という単語が
使いやすいでしょうという事でした。

で、紹介するダムを

・灌漑用ダムで度重なる嵩上げを繰り返して現在は治水も加わった大阪府の狭山池ダム
・水道用ダムで嵩上げを見込んで設計された福岡県の曲渕ダム
・発電用ダムで新しいダムが同じ地点に造られて水没してしまった峰山第二ダム
・水道用ダムで貯水池の再配分で治水活用されることになった千苅ダム

と選びました。


大阪府の狭山池は1400年以上前に造られ
何度も嵩上げされてきた由緒あるアースダムです。


桜の頃は勿論、通年、大人気で訪れる人が絶えません。
ホントに地域に愛されているアースダムです。

平成の大改修工事で治水が役割に加わりました。

きっかけは近畿地方と三重県で大変な被害を出した
T8210による浸水被害です。
ここ、狭山池の流域でも3000戸にのぼる被害が出ました。

灌漑用のため池であった狭山池を
治水に生かすため改修工事が行われたのです。


メインの堤体である北堤はどこまでが堤体なのか
境界が判らないくらい公園化しています。
立派な桜も堤体にたくさん植えられています。


狭山池にいったらぜひ足を運んで頂きたいのが狭山池博物館です。


狭山池が1400年の間に何度も何度も灌漑用水を求められ
それに応じるために嵩上げされてきたかが展示物を見ると
とてもよく理解できます。


圧巻は実際の堤体を切り取って館内に再現したこの展示です。
ダムの大きさと地層をこうして見られる施設はほかにないと思います。
ホントにすごいのです。


堤体断面を詳しく色分けして説明してくれているパネルと見比べるだけで楽しい楽しい。



水道用ダムの嵩上げで紹介したのが福岡県の愛されダム、曲渕ダムです。


神戸市水道局の千苅ダムや立ヶ畑ダムと同じく
計画当初から嵩上げを見込んで造られていました。
早く水源を確保して給水したい気持ちと絶対にまた水が不足するから
いずれ大きくするんだという先見の明。


竣功は1923年(大正12年)で嵩上げは1934年(昭和9年)に行われました。


竣功時の堤高は31.2m
一回目の嵩上げ工事で+7.7mの38.9m
現在の堤高は+6.06mで約45.0m

何故、約45.0mになっているのかというと
嵩上げは1934年の1回だけですが
1992年に改修工事を行っています。


堤体の上流面に腹付けという堤体積を増やす工事が行われました。

この工事の際に堤体の高さを測定しなおしたところ
最初に堤高として記されていたのが取水を行っている
引水塔の底を通る暗渠の高さから堤高を算出していた事が分かり
現在の基準、基礎岩盤からの高さで再測定したところ
約45.0mだということが判明した!!という経緯があったのです。

実質的な嵩上げは竣功時に計画されていた分の一回で
二回目は堤高が現在の基準で測定し直したら変わっていたという事です。

謎解明。