鷲ダム見学 その4

「おはようございま〜す♪今日はよろしくお願いいたします♪」
「おはようございます」
「夏に三面取水堰堤と智奈洞取水堰堤に行って来たんですが
チロリアン式取水について良く理解が出来なかったんです。
どういった利点がある取水方式なのかというのを教えて頂きたいのと
先日、長野県の王滝村に行った時にあのあたりにある関西電力さんの取水堰堤で
チロリアン式が多数採用されていると聞いたのですが、出水の後に
手動でゲートを開けに行かなくてはいけないと聞いたんです。
手動でゲートを開けるってどういう事なのかわからなかったのですが
三面や智奈洞も手動なのですか?」
「チロリアンは水量の変動が激しい場所に適した取水方式なんです。
構造はというと・・・」

玄関の外にいらっしゃった電力所の副所長様に御挨拶もそこそこに
いきなり質問を始める無謀なダムマニア。
他の方から寒いから中に入りましょうと止められる。

もうテンションあがり過ぎ。
今回の見学と関係ない事をいきなり聞き始める。
でも余裕で優しく対応してくださるでんぱつの皆様。

電力所の応接室(!)に通して頂き、チロリアン式取水堰堤の仕組みについて詳しく教えていただく。
メモ用紙が無くておろおろしていたら「でんぱつ」のロゴの入ったメモ帳を頂いてしまいました。

「ありがとうございますーっ!
やっぱり“でんぱつ”ですよね。
“でんぱつ”サイコー♪
“でんぱつ”が一番カッコイイですよね!
J-poweより“でんぱつ”

と、いきなりでんぱつアイテムをもらって頭のねじが吹っ飛ぶ。

「僕もでんぱつの方が好きですよ」

と、苦笑しながらもフォローしてくださる偉い人。

続けざまに大野市のでんぱつファミリー(九頭竜・鷲・石徹白・山原)のダムの
ダムマニア視点カッコよいポイントを熱く語りまくる&質問攻め

「今回、お聞きしたかった事に鷲と石徹白の事があるんですが・・。
ダム協会様のダム便覧には現在、重力式アーチが12基登録されています。
しかし、土木遺産を選定している某大学教授はこのうち東京電力の中岩と黒部
宮崎県の芋洗谷、については曲線重力式であって重力式アーチではないとの見解を出されたんです。
つまり国内の重力式アーチは9基という事になるんですが・・・
重力式アーチか曲線重力式かの区分は安定計算を重力式とアーチ式の両方で
やっていないとだめなので外見で判断するのは無理と聞きました。
それで・・・鷲と石徹白は比較的アーチが緩やかなので心配だったんです。
こちらの2基は・・・」
「鷲と石徹白は重力式アーチですよ」


偉い人がさりげなく出してくださった図面には
アーチアクションの計算された数字がばっちり入っていたのです。
水色に塗ったところは元の九頭竜川です。

「よかったぁぁ♪やっぱりでんぱつ様のダムだぁ」 ←意味不明
「アーチの大きさで見分けるのは難しいですが堤体の厚さを見るのは
ひとつの判別ポイントになると思いますよ。鷲も石徹白も堤体が薄いでしょう。
こうしないと重力式アーチにした意味がないですからね」
「おぉ!!そうですねっ。堤体の厚さですか」


鷲ダムのスペックです。


堤頂長 276.96m
堤高 44.0m

重力式アーチで大切な堤体の敷幅、これが27m。


鷲ダムのハウエルバンガーバルブ。
九頭竜川の真上に当たる場所にあるのだという事が分かりました。

「鷲ダムの天端、入られますか?」
「え!天端に入らせていただけるんですかっ!いいんですかっ」

職員宿舎の敷地の端っこあたりから撮らせていただけたら嬉しいなとだけ思っていたのに
いきなり天端に入れて頂ける事になりました♪