高藪堰堤 見学 その2


堰堤に近づける道はというと右岸に立派なものが付いていました。


ビューポイントからわくわく撮影。
どんどん堰堤に近づいていきます。


水利使用標識がありました。
住友共同電力のダムと確認。

更にこの道路を進んでいくと
人家登場。

そして
堰堤の横には色々な設備があるんですが
人家の庭との境界が不明。

これは・・・
えーと。
とりあえずお住まいの方に声をかけて見せてもらおう。

と、思ったところ、家の前にお住まいの方と思しき御夫婦が出てこられました。

「こんにちは」
「こんにちは」
「すいません。私、全国のダムを見て回っているものなんですか
こちらのダムを近くで見せて頂きたくて参りました」

「はいはい。ゼネコンさんですか?」

ゼネコンさん?????
薄小汚い迷彩服のカメラを抱えた奴がやってきたというのに
何故そのコメントですか。
今までいろんな職業名で尋ねられたけど
ゼネコンと言われたことはないです。

「え?? ち、違いますっ。ただのダムが好きなマニアです」
「そうなんですか。いや、先日もこのダムがとても貴重なものだからって
ゼネコンの団体さんが来られたからそれでね(笑)」
「あ・・そうだったんですか。吃驚したー。」

そういう落ちでしたか。

「それにしても美しいダムですねー」
「土木遺産ですか。そういうものにも選ばれているみたいですね」
「住友さんのダムですよね」
「そうです。工事の時はここには道路も無くて
向こうの山から木馬と策道でここまで機械や材料を運んだそうですよ」
「え!!道路通っていなかったんですか」
「車が通れるような道路ができたのはずっと後ですね。
今の道の下に見えているあの旧道ができたのが昭和13年くらいだったかな・・・と」
「道路のない山奥でこれだけのダムを作るってすごい技術力ですね。
やっぱり別子銅山の技術力があったからなんでしょうか」

「堰堤を作ると同時に下流の発電所も作ることになりますから
ここから隧道を掘って大きな機械の部品なんかは船で運んだんですよ」
「船ですかー」

めちゃくちゃ詳しい解説が。
なんとこの家にお住まいの方は
この高藪堰堤の監視をしておられる方だったのです。
嘱託というのがいいかな。
今はゲートはみんな遠隔操作ですがなにかあった時は人の目で確認が必要ですし
対処しなくてはなりません。
そういう時に活躍されるわけですね。


対岸に今も残る旧道。
よほどの難所だったのか岩盤素掘りのトンネルが見えていました。
この道路が通るまではここに車で来れる道がなかったという。
四国の山はとにかく険しい。

「こういうダムをロックヒルっていうんでしょうかね。
今のコンクリートのダムと趣が違いますね」
「ロックフィルではないですね。メイソンリーダムですね。
いやでもホントに綺麗ですねー」

さすがに一般の方ですからこういう勘違いはあるようです。
ロックフィルダムというのは堤体を構成している材料の
50%以上が浸透性の或る岩石で造られていて遮水部分を有しているものですよ
これは表面に石を張っていますのでメイソンリーダムですよ
玉石コンクリート重力式になります
と、説明をいきなり現れた胡散臭い素人が言うのもどうかいなと一瞬迷い
さらっと否定しただけで終わりました。

でも逆にロックフィルという単語をどなたかがお伝えになったから
その単語をご存知なわけで・・・。
誰かが嘘を伝えたな。

高藪堰堤の堤高は11.6m、堤頂長は53.4m。
型式は玉石コンクリート重力式になります。


どこまでがにわか境界線不明ですが近づかせていただきました。


この距離で見下ろすと11.6mには見えません。
もっともっと高く見えるんです。


これが右岸にある取水口です。
ここから水を取り入れて発電所の上のヘッドタンクまで隧道で送っている訳ですが
先ほどの説明であった、発電所の資材を運んだ隧道というのがこれになります。

凄い事をやってますね。
さすが住友。
さすが別子。

あの端出場発電所を作った技術力ですから。
端出場発電所は明治45年(1912年)にできています。


これが多分、住友共同電力・高藪発電所のはずです。
来る途中で見えていました。
水圧鉄管しか撮れていませんが・・・。
ここまで隧道で資材運んだんですねー。
通るとき怖かっただろうな〜と想像。


排砂ゲートの巻上機です。
岸に近い方に「2」、川に近い方に「1」の文字が書かれていました。


2号排砂ゲートを見下ろしたところ。
ほんとに高さ11.6mよりずっとずっと高く見えます。


排砂ゲートの下のコンクリートは長年使われ続けてかなりバトルダメージありますね。
鉄筋が顔を出しています。
魚道はもともとあった岩盤の上に乗っかっているのがよく分かります。


後ろを振り返ると静かな湖面です。
川面と言ってもいいですね。
吉野川の上流部です。
この水は早明浦ダムに届く水です。


魚道の入口を見下ろしたところです。
コンクリート製の板がはまっていますね。
今は水を流していないので
取水ゲートの方からここに降りてくるようです。