高藪堰堤 見学 その1

2011/1/15 更新


四国のいのち 早明浦ダム。
日本一ニュースで名前を見るダムという評価がありますが
ほんとにその通りだと思います。

西日本一の貯水容量を有するのに渇水になるという。
毎年ほんとに厳しいお仕事を黙々と頑張っている四国のいのちです。


今回はこの早明浦ダムのダム湖の端っこの上流にあるローダムを取材です。
以前も来たことがあるんですがなんとその時にカメラトラブルが起きて
写真が一枚も撮れないという不運に遭遇したいわくつきのダムです。

早明浦ダムの横を通る県道17号をずーーっと上流に走っていくと到着します。


今まで右岸を走っていた県道が橋で左岸に移るこのポイント。
この橋の直上流に今回の目的の高藪堰堤があるのです。


橋から見るといきなりこんな姿でドキッとさせられます。

玉石張の曲線を描く越流部。
段々がいかついゲート部。
川から生えてきたような岩盤との一体感。


ここに来るまでの川がそうだったのですが
険しい渓谷になっていて川は深い谷の底を走っていました。
同じ岩盤がここにもあり、堤体はその上に乗っかっています。


左岸は岩盤に食らいついています。
岩盤から人工物が増殖しているような外観です。


右岸は岩盤との間に魚道が通っています。
ゲートは2門。
位置から考えて土砂吐であると考えられます。


魚道とその石垣
無骨な排砂ゲートからの流路
その横には更に仕切りがあってもうひとつルートが確保されています。
複雑な作りです。

この高藪堰堤は住友共同電気が所有している取水堰堤で
竣工したのは1930年(昭和5年)です。

同世代のダムというと豊稔池や小牧ダム。
いずれも日本代表級名堤体。
海外では八田與一技師による烏山頭ダムも1930年竣工。


ゲート部を堤頂レベルで見るとこうなっています。
山に一番近い場所には階段。
その横に魚道です。
堤頂は石張部分と高さを揃えるように角落としのような板がはめ込まれています。

排砂ゲートの上にも越流した時に備えてなのか滑らかなカーブが付けられています。
そしてもう一つの流路は洪水吐にしては小さいし川の真ん中に近いので
これはもしかしたら流木路の可能性があるかもと見ていて考えました。


魚道はかなり勾配が急で出水時にダメージを受けやすいであろう
下流河床に近い部分では痛みが激しいです。
落石で塞がっている部分も見えていますね。