裾花ダム 見学 その3


天端から振り返って
右岸のトンネルからダムへの入口がある方向を見たところです。
入口のすぐ横にインクラインと艇庫がありました。


下流側を見ると本当に丁度、この狭隘な谷に
お陽様が差し込んできたところで
副ダムから堤体まで日差しを浴びていました。


天端中央付近はこんな感じです。
上流側も下流側もお揃いのパラペット型高欄。
ゲート巻上機はきっちりゲートハウス収納。


クレストゲートはラジアルゲートで青色塗装でした。


副ダムは数多くはないけれどあちこちで時々見つかるこの二段式。
そして裾花ダムの副ダムは二段式でも最初に越流が始まる
中央のスリット幅がとても狭くなっています。

長崎県のダムでよくみられる
オリフィス・クレスト一体型ゲートレスダムと考え方が同じで
越流部の高さを変えることで放流量の増加に対して
二段目の高さに水位が到達するまで一定率でカット効果が働きます。

一段では
最初に副ダムの水位が上がり越流水位に到達するまでは副ダムの下流に水は流れません。
副ダムに底部放流孔がある場合は別です。

そして副ダムが満杯になって越流部を水位が超過したら
今まで流れていなかった処にどーっと水が流れ出します。
流れていなかったところに突然どーっと流れてくる
この差が大きい事を嫌う場合に、この二段式越流部構造は効果を示します。

二段では
早い段階からカットしつつ放流水を下流に流し始めるので
下流から見れば放流量の増加が急に起きるのではなく少しずつ上昇する形になるからです。
もちろん放流量曲線で見れば、一段目から二段目に変わるところで
越流量は増大しますから上昇率も変わって大きくなることは間違いないですが
それでも全然流れていなかったところにどっと流れてくることを思えば
緩やかに放流量がステップを刻むように増えていくのはとても下流にやさしい設計だと思います。

すごいなーと思いましたが落ち着いて考えると
裾花ダムはすぐ下流に湯の瀬調整池ダムがあるんですね。

放流が少々荒っぽくなったとしても
ちゃんと受け止めて下流に安全に水を届ける
しっかり者の湯の瀬調整池ダムが至近距離で控えているのに。
何故、そこまで湯の瀬ダムに対してやさしく心配りして放流するのかと

湯の瀬ダム…
ものすごく裾花ダムに大事に大事にされている空気が漂っています。
裾花ダムファンから嫉妬されそうなくらい。
間にある発電所を大事にしているのかもしれませんけど。


堤体直下の減勢工は左右法面を綺麗にコンクリートで被覆した三面張り。
副ダムとの間にはひとつ、シルも設けられています。


工事作業始まっていたので左岸にはいけませんでした。
左岸側の管理通路にも屋根が付けられています。

そしてパッと目につくのがスラストブロック。

でも設計図ちゃんと見ないと…。

先日、ずっとスラストブロックが左岸にあると教えられていた
とあるアーチダムで、実は左岸にあるのは重力式部分で
スラストブロックは右岸だったんだよー
とか聞かされてびっくりしたりしたので。

曲線重力式と重力式アーチを設計図なしで外観だけで判別するのと同じくらい
スラストブロックを見極めるのは困難だということを学びました。


紅葉真っ盛りの色づいた山の下で
青空を映したダム湖がとても綺麗です。
冬に向けてまだまだ水位上がってほしいところ。
冬季渇水は嫌です。


天端から管理所の方に戻って管理所の裏に回り込み
展望スペースに移動してきました。


クレストゲートにお陽様が届いていました。
クレストゲートの越流部からのラインは割となだらか。
ドームアーチだからそんなに前に張り出さなくてもいいので。