新内海ダム 見学 その2


説明を受けた後、堤体を見に移動です。
見えてきました真っ白コンクリート。
打ち立てコンクリート。


堤体左岸に新しくつけられた道路は広くて快適です。
ダムの説明板も準備完了です。


旧堤体と新堤体の位置です。
後ろはすぐ山。
川沿いに広がる市街地。
そしてすぐに海なのです。


そして堤体の断面図と下流面図。
堤高は43.0mです。
旧堤体は21.0mだったので倍近く高くなりました。
天端標高は旧堤体がEL68.0mであったのに対し、新堤体はEL83.0mです。


旧堤体のあった谷から尾根をはさんで左岸に伸びる堤体。
工事はまだまだ続いていますので現在はこんな風に土砂が丸見えですが
国立公園でもある寒霞渓の麓ということで堤体下流には
工事で出た土砂を置く土捨て場を修景盛土として整備することになっています。

小豆島は中央に寒霞渓という高い山がそびえる急峻な島であり
島民が生活できる平地はどうしても少なくなっています。
その為、土捨て場の確保は工事にとってとても重要な課題でもありました。

土捨て場を堤体直下というか堤体の下流面に乗せるという発想で緑化した事例は
大阪の新滝の池ダムや海外では米国のマルホランドダムがあります。
(マルホランドダムは景観とは別の理由で盛り土されたのですがその後の緑化は見事というほかありません)

人が暮らす町にとても近い新内海ダムはコンクリートの壁の圧迫感が住民の方の負担になるのではと
修景にとても力を入れているダムでもあるのです。

ただ、現在、日本ではコンクリートダムを作る時に
堤体の外側から監視ができるようにしておかなくてはならないというルールがあります。
海外の地震が少ない国とは基準が違うのです。
なので堤体下流に絵を描くことすら禁止されている現状で
コンクリートが完全に隠れてしまう盛り土は許可が出ません。
なので旧堤体のように下流面に盛り土をすることはできないのです。


ダム湖予定地をくるっとまわって右岸に移動してきました。

職場のダム仲間である上司がダムカードをゲットするために数週間前に先にここに来ていました。
その時にこの場所から撮った写真が泣けてくるほど素敵だったのです。

上司が撮った写真には旧堤体と新堤体が一緒に写っていました。
その写真から伝わってきたメッセージは「託す」という言葉。

今まで頑張ってきたダムから新しいダムへ
役目を終えるダムから仕事を始めるダムへ


同じ場所にやってきました。

ここまで水に沈みますという印が岸に立っています。
旧堤体よりずっと高い場所に。