新豊根ダム 見学 その3


ここまで来ると堤体がよく見えます。
転落防止柵もあります。
昼間なのでこれからまた水位下がっていくのかなー。


角度を変えて。
クレストがローラーゲートででんぱつ様のダムっぽいですね。

新豊根ダムはもともとでんぱつ様が佐久間ダムの揚水発電の上池として計画したダムです。
しかし工事が始まろうとする昭和43年(1968年)に大千瀬川・大入川流域に大変な洪水が発生しました。
被害の大きかったのが下流の浦川地内でした。

この洪水災害を受けて発電専用ダムではなく洪水調節機能も持った多目的ダムとして計画が見直され
国が管理するダムとなったのです。

こういう経緯をたどったダムは割とたくさんあって
手取川ダムや九頭竜ダム、鶴田ダムなどもそうです。
もともとの計画は日本発送電など電力会社がダム地点を選んでいました。


水位標をズームしてみる。
訪問時は洪水期前だったのですが水位はEL470.7mくらい。
ちょっと写真ぼやぼやしてて分かりづらいですが

新豊根ダムは予備放流水位が466.9mだそうです。

夜の間に佐久間の水が揚水であげられてきているんですね。
訪問時は洪水期の少し前、5月半ばでした。

新豊根ダムで設定されている水位は4つ。

平常時最高貯水位(常時満水位) EL474.0m
制限水位 EL470.0m
予備放流水位 EL466.9m
最低水位 EL435.0m

揚水発電の上池です。
取水できる一番低い水位が最低水位
洪水に備えて下げておこうと判断された時には予備放流水位まで下げる。
普段の揚水発電の運用でこれ以上は水位上げないでねと使われるのが制限水位
そして洪水の時などにぐっとこらえて貯め込む時の限界が常時満水位でしょう。

予備放流とか事前放流とか
常時満水位と洪水期準備水位、制限水位
設計洪水位にサーチャージ水位
放流も貯水位も、現す用語が多すぎて混乱する。
但し書き操作については最近、異常洪水時防災操作と呼び方変わったというか統一されましたけど。
しかもこれらの用語ってかなりローカルルールが通っている世界みたいで
現場で「利水ダムの予備放流と治水ダムの予備放流は意味が違う」とか言われたり
ダム巡りしていてもう訳分らんです。
ダムによって洪水調節容量の空け方も常時満水位設定があったり
オールサーチャージ方式だったりとこんがらがる。
ちなみに良く勘違いされる予備放流と事前放流について
「予備放流」
非洪水期に常時満水位から洪水時貯留準備水位まで放流して水位を下げ容量を確保すること。

「事前放流」
洪水期に流出予測が非常に大きく通常の洪水期準備貯留水位よりも更に水位を下げる必要がある時
河川管理者の許可の下、洪水調節容量を確保するために放流すること。
事前放流はどのダムでもできるわけではなく
利水ダム&多目的ダムの一部が事前放流水位を持っています。
ローカルルールを聞くのも楽しいですが
ダムについて多くの人に知ってもらうためには用語の整理も必要です。
この解説に凄く力を入れて分かりやすく説明してくれているのが
滋賀県のHPです。
財団法人 ダム技術センターの用語集にgifアニメをつけて凄く分かりやすい。
流石、近畿の水がめ・琵琶湖を持つ滋賀県です。


天端横まできました。
ここにも立派なダム名碑。


Aバリケードがあるので一応天端の通行について管理所ならぬ操作所に聞きに行こう。


展望台もありますがこの高さから見てもうわぉ!!となる左岸からのビュー。
非対称放物線アーチダムです。

花の72年組。
下筌ダム・豊平峡ダムと同い年。
ん?
1972年だったら昭和47年だよね。
さっきの説明板には昭和48年と書いていたから
多分、発電所とか一式含めての竣工年が昭和48年なんだろうか。
この竣工年についての疑問は調べてみると意外や意外な結果が出てきたので
また別のレポートでまとめようと思います。
ダムのお誕生日調査感覚で調べると鯖読みがありありで面白かったので♪


思いっきり深く両岸に食い込んでいて
凄い良いダムサイトだなぁと感心する。