下小鳥ダム 見学 その2


右岸をじりじり上流側に移動。
工事車両が時々通ります。

この時、下小鳥ダムでは濁水対策として表面取水設備の工事がおこなわれていたので
その関係で水位は低めだったのかと思います。


工事で水位が低い時ならではの上流面愛で放題。
普段はロック材の色が白っぽくなっているあたりまで
溜められているんだろうなという事とがわかります。


さらにじりじり上流側に進んでいくと
慰霊碑がありました。
この周囲には丈の低いリンドウがたくさん咲いていました。
下小鳥ダムの天端標高は706.0mです。


ダム管理所に到達。


釣り人に対する注意かなんかかなーと思ったらなんと
公衆トイレの場所と携帯電話の通話可能エリアを示す地図でした。
なんて親切なんだ。

というか相当、この問い合わせがあったから対策されたのかもしれない。


噂によると巨大な魚がいるらしく
釣り人の訪問も多いらしい下小鳥ダム。
現在水位、低め。
でもお水はすごく綺麗。


堤体の図面入り説明板を発見しました。
色々吃驚することが書かれているのですが…



一番吃驚したところはここでした。

ちょっとまてー
なんでこんなに工期短いねーん
信じられへん!!
100m超級のロックフィルをこの工期って信じられへーん!!

しかも
堤体の図をみる限り
御母衣や九頭竜で採用された傾斜コアフィルではなく
センターコアフィルであるという事も驚き。

下小鳥ダムより前に国内で100m超級で竣工していたダムは
 水資源機構の牧尾ダムが105.0mで1957年
 電源開発の御母衣ダムが131.0mで1957年
 国土交通省の九頭竜ダムが128.0mで1968年
 電源開発の水窪ダムが105.0mで1969年
 電源開発の魚梁瀬ダムが115.0mで1970年 
 関西電力の下小鳥ダムが119.0mで1973年
となっています。

工期に大きな影響を及ぼす流域の気候ですが
 牧尾ダムは太平洋側 ←センターコアフィル
 御母衣ダムは日本海側 ←傾斜コアフィル
 九頭竜ダムは日本海側 ←傾斜コアフィル
 水窪(電源開発)ダムは太平洋側 ←センターコアフィル
 魚梁瀬ダムは太平洋側  ←センターコアフィル
 下小鳥ダムは日本海側 ←センターコアフィル!

豪雪地帯の100m超級は工事が滞りやすい冬季を考慮して
コアとロック材を別々に盛り立てられるメリットを生かし
傾斜コアフィルで作られていた時代からの技術進化。

一体どれだけ工夫されたのか
14ヶ月で
センターコアフィルで
日本海側の豪雪地帯で
こんな凄いダム作っちゃったって…

もう凄いの一言。
これが関西電力様の技術力。

更に
下流の下小鳥発電所に送っている水は
最大使用水量65.0t/s
凄いな〜
凄いな〜
この大水量で落差も251.1m


常時満水位と天端標高の差は4.0m。
お水たくさんたまって幸せ水位の時も会いに来たい。


堤体から上流に少し進んだところで表面取水設備の工事が行われていました。


クレーンが乗っかったフロート。
資材がテンポよく運ばれています。


洪水があると川の水は濁ります。
ダムがなければ比較的早く濁度は低下しますが
ダムがあると濁度はなかなか下がらず濁り水も長期化します。

また、ダム湖の水深によって濁りは変わってきます。
洪水直後は表層から深層近くまで全部濁っていた水も
時間の経過とともに澄んだ水と濁りが続いている水の層に分かれてきます。
ダム湖の水温にも濁りの分布は影響をうけます。

なので各地のダムで下流に供給する水を
比較的早く澄んだ層から選んで取り込むことで
濁水の長期化を減らそうとされているのです。

温度だけではなく濁りにも気を使う
水質にここまで配慮して下さっているのです。