七川ダム2022 その2
訪問したのは12月ということで貯水位はかなり低くなっていました。
今回の塗装工事の対象になるローラーゲート二枚のうちの一枚を上から見た所になります。
扉体の貯水池側はリベットが綺麗です。
うっすらと錆色になっています。
足場が組まれて塗装前の作業が始まる直前のローラーゲートの横にも
連れて行っていただきました。
ここは普段、一般人が絶対立つことができない場所です。
越流部堤頂です。
先ほど機側操作で上げられたばかりのローラーゲート。
扉体の下に潜り込んで見たところになります。
天端とゲート室周りを見学させて頂いた後、堤体直下に移動です。
滑らないように足元注意で降りていきます。
上に見えているのは初代管理所。
昔は堤体に乗っかる形になった管理所もよくありましたが
いつの頃からか、堤体から離れたところにつくるようになりました。
ちゃんとした理由があると思いますが文章で読んだことはないので
また調べてみようと思います。
堤体内への監査廊入口は天端から一段下がった所にあります。
以前見学させて頂いた時も実に天井が高く、からっと乾いた
監査廊だなと感心したものですがこの日もきれいに乾燥していました。
手すりがありがたいです。
堤体内で最初に向かったのはこちらの常用洪水吐室です。
こちらが選奨土木遺産に認定された選定理由の要
現役で頑張っている“高圧スルースゲート”になります。
堤体をダム軸に対して直角に通っているコンジットチューブ(管)に対して
ダム軸と平行、水流に対して垂直に水流を切る形で動作するスルースゲート。
水流に対して45°で切るジェットフローゲートが今の主流なので
非常に珍しい物が目の前にあるということでわくわくします。
こういうギロチン的動作をする高圧ゲートが現役で頑張っていることが奇跡的。
同様の構造のゲートがあちこちのダムで設備更新されています。
日本最古とされる高圧スライドゲートは北上川の田瀬ダムです。
田瀬ダムの高圧スライドゲートは米国製の輸入品でした。
国産の高圧ラジアルゲートは鬼怒川の五十里ダムに
設置されたのが最初とされています。
七川ダムのこのゲートも同じ年に備え付けられていますので
国産の2番目の扉体なのです。
しかし、田瀬ダムと五十里ダムはいずれも
高圧スライドゲートに代わる洪水吐が改良工事で備え付けられました。
従いまして、七川ダムのこの高圧スライドゲートは国内最古で
現役で稼働している扉体になるのです。
すっごーい♪
でも設備更新は七川ダムでも検討されていて、近々、このゲートも
新しいものに交換されるとのこと。
このゲートをつくってくださったメーカーは田原製作所様。
ばっちりお名前が入っていました。
選奨土木遺産ですし更新された後は
是非ともこれを残してほしいですね。
ゲート類であれば機械遺産の方が良いかもしれませんが
古いからと除却された後、捨てられてしまうには勿体なすぎる。
歴史的な価値はとても高いと思います。
開度を示すスケールとニードルのアップ。
こういうメーター大好き。
更に下の監査廊に移動します。
ここでも手すりに依存。
下段監査廊の壁にある定礎石。
達筆ですね。
この時の和歌山県知事、小野真次様の筆のようです。
機材の搬入ルートも兼ねている監査廊ですので
とても天井が高いのだなとゲート室を見て再確認。
そして天井がエフロが少し出ていても芸術的な模様で
美しかったのが印象的でした。