佐久間連合艦隊 その2

続いての疑問は平成23年度より中止になっているという「流砂促進」

『渇水期にダム水位を低下させ、ダム貯水池の中・上流部を自然河道状態とし
堆砂をダム貯水池下流部の有効容量以下に流下移動させる』

「えーと・・・つまりこれは
泰阜・平岡ダムのように洪水時の第U類のダム操作と同じようなものなのでしょうか?
ゲート下端まで砂が来ていないとできないようなイメージなんですけど。
まさか・・放水管のレベルまで水位下げるのですか?」

佐久間電力館の建設中の佐久間ダム模型です。
5門のクレストゲートの他に佐久間ダムから水が出るところは
発電用の取水塔
新豊根発電所建設の時を最後に、建設後、数度しか使われたことがないという放流管
豊川用水の取入口
があります。
堤体模型の一番下にある4つの呑口は建設時の出水対応用の物で現在は閉塞されています。
「いいえ、発電用の取水口から行うのですよ」
「えっ。発電用取水口からですか。水車が痛みそうっ」
「渇水期というのは冬場ですね」
「冬に水位下げて流すのですか。現在は中止という事ですが・・」
「これをやりますとどうしても川の水が濁りますので」

川の水が洪水で濁るのは仕方がないですが
できる事なら濁りの少ない水を流したいという事で色々な配慮が必要とされているのです。
発電用ダムでも濁りの少ない水を出すために選択取水塔を設けているところもあります。
でもこの水位を低下させて砂を出すときには濁りの少ない水を選ぶことはできませんので
どうしても濁りやすくなるのですね。

◆ ◆

最後に「湖外搬出」
一番分かりやすいです。
溜まった土砂をダム湖から引き揚げて外に出す。

佐久間ダムではこれを地元の採石業者が行っています。
川砂は良質の骨材になります。
朝早くに佐久間ダム堤頂で見た18tダンプトレーラーはこの採石業者さんの物でした。
浚渫して乾かした堆砂は骨材やゴルフ場の砂などにも使われるとか。
ダムには厄介者の砂ですが骨材として川砂は大事な資源です。


その浚渫船が実際に活躍している現場を見せて頂けることになりました。
佐久間ダムの天端を渡って右岸のこのトンネル。
うなぎたるトンネルです。

ここをあの18tダンプトレーラーが通るという事が
そして一般車両も通るという事が信じられない
恐ろしいほどのぎりぎり幅。
退避所はありますがこれは経験と勘が必要。
一般車でここを通行するなら
とにかく慎重に慎重に進む必要を肌で感じるうなぎたるトンネル。

ここから中上流の浚渫作業をしている現場
富山村(とみやまむら)付近まで約23kmを移動します。


うなぎたるトンネルを超えてしばらく進むと新豊根発電所入口が。
佐久間ダムと新豊根ダムの間では揚水発電がおこなわれています。
それを担っているのが新豊根発電所。


くねくね道を進んでいきますとここはなんと愛知県の県道1号線であると。
過酷な一桁県道。


更に進むと採石業者の方の基地が現れました。
重機がベルトコンベアが元気に働いています。


トラックの往来が激しいのでお仕事の邪魔にならないように
行きすぎて先に進んだところからダム湖越しに見ます。


入江になっているんですね。
ここに土砂を積んだ船が来て積み荷を降ろすわけです。


船の姿はまだ見えないのでどんどん上流へ。

「一隻いますね」


居た!!
可愛い船が運航しています。
これはタグボートかな。