佐久間連合艦隊 その1

2013/5/20 更新

ダムと堆砂について勉強しています。

堆砂はダムの貯水容量を減らしてしまいます。
ダムを長く使うためには堆砂対策がとても大切です。

(天理ダム貯砂用砂防ダム) 
既設ダムのダム湖上流に貯砂ダムを造ったり
(長島ダム貯砂ダム)
予め貯砂ダムも合わせて建設したり
(高瀬第五取水堰堤で活躍中のふくちゃん)
溜まった土砂を浚渫や吸引でダム湖の外に搬出したり
(美和ダム排砂バイパストンネル)
堆砂の影響が著しいダムでは排砂バイパストンネルを新設したり
(秋葉ダム下流置き土砂)
下流に土砂を置いて出水時に流れるようにして川に還したり

ダムが永く水を貯め、仕事を続けられるようにしています。


堆砂についての取り組みが一番進んでいるのは天竜川水系です。
天竜川のダム達は過酷な砂との戦いを続けています。
地質や流域の特性もありますが36水害や58水害など
過去の大災害が天竜川のダム達の堆砂に大きく影響していることを知りました。


中部電力 泰阜ダム


中部電力 平岡ダム


電源開発 秋葉ダム


電源開発 船明ダム 

いずれも天竜川本川にある素晴らしいダム達です。

今回は、天竜川の王・佐久間ダムの堆砂対策について勉強しに行ってきました。


渋滞を回避しようと夜中に出たのに
見事に新東名の分岐までに渋滞に引っ掛かって時間を大幅にロスしてしまいました。
でも鳳来峡I.Cまで道が伸びているのはすごく便利で助かります。
佐久間が近くなった感♪


朝靄のかかる時間に佐久間ダムに到着しました。
慰霊碑のある左岸公園の白藤が満開でした。
花が大きくて真っ白でとても綺麗です。


この日の佐久間ダムはゲート下端までお水が来ていました。
お水たっぷりだととても満足。


朝早かったので投光機が点いていました。
点灯しているのを見るのは実は初めて。

朝早いのですが堤頂道路は巨大な18t積のダンプトレーラーが行き来しています。
ドライバーの方からこの時間はトンネルを通る時は気をつけてと声をかけて頂きました。


という事でトンネル内では手にライトを持っていつもの展望台へ。
新緑の季節はやっぱりいいですね。
コンクリートと緑が素敵な佐久間ダムを眺めてほのぼの。


佐久間ダムを眺めてほのぼのした後は佐久間発電所。


年間総発電量日本一の佐久間発電所。
竣工して57年目ですが日本一の座を守っている水力発電の聖地です。
年間13億〜18億kWhもの電気を生み出している日本の宝♪

この佐久間発電所の横にある佐久間電力所に本日は見学のお願いをしております。
『佐久間発電所入口』という交差点を曲がって駐車場に車をいれました。
ここに来る前に思いっきり間違えて佐久間FC(周波数変換所)に行ったり
何度も来ているのに間違う自分。


佐久間発電所からの放水を愛でる。
この水は天竜川の下をくぐって対岸の佐久間第二発電所に向かいます。
たくさんのお水が何度も水車を回して電気をいっぱい作ってくれます。


こちらが対岸の佐久間第二発電所。
うふ。
水力発電の聖地。
また季節のいい時に徒歩で佐久間の市街地をぽてぽて歩いて
いろんな施設を眺めたい願望に駆られる。

「水力発電の聖地・佐久間を散策するツアー」
とか、NEXCO中日本さんとか考えてくれないかしら。
佐久間ダムと佐久間発電所と佐久間FCと佐久間第二発電所と見学するツアー。

あ、それは2004年の佐久間ダムOFF会のコースだな。
時間足りん足りん。
全部じっくり見ようと思ったら全然時間足りない。

◆ ◆

と、周辺をうろうろしてきょろきょろして
佐久間電力所を広い敷地の中からようやく見つけました。
違うところうろうろしすぎ。

見学をお願いしていたダム愛好家ですとお伝えすると
すぐに応接室(!)に通していただきまして恐縮。

事前学習してきた社史のコピーなどの資料を広げて
堆砂対策について教えて頂きます。

でんぱつ様のHPで2011年のサステナビリティレポートが公開されています。
23ページ目に「ダム貯水池の堆砂対策への取り組み」の説明があります。
            ※ ↑ 全部で94ページあります(pdf 12.5MB)

佐久間ダムで実践されている堆砂対策は

@湖内移送
ダム貯水池中・上流部の堆砂を浚渫船せん及び
土砂運搬船を用いてダム貯水池下流部へ移送する

A湖外搬出
砂利採集業者が実施している
搬出した堆砂は、コンクリート・アスファルト骨材等に有効利用

B流砂促進(平成23年度より中止中)
渇水期にダム水位を低下させ、ダム貯水池の中・上流部を自然河道状態とし
堆砂をダム貯水池下流部の有効容量以下に流下移動させる

この堆砂対策で「湖内移送」というのがピンときませんでした。
堆砂はダム湖の外に砂を出さないと根本的な解決にならないのに
折角浚渫した土砂をどうして湖内で移動させるだけなのか。

「湖内でどこからどこに移動するんですか」
「ダム湖の中上流で土砂を取って下流の死水域、つまり堤体の近くまで持ってくるんです」
「折角ダム湖から土砂取ったのにダム湖の外に出さないのですね。
土捨て場が確保できないという事でしょうか?」

「それもありますがまず上流の冠水・洪水対策として必要なのです」
「上流の洪水対策?そんなU類ダムのような対応もしなくてはならないのですか?
ただでさえ遅らせ操作で頑張らなくちゃいけないT類ダムなのに大変なんですね」

平岡ダムと佐久間ダムの間は大変険しい峡谷です。
天竜川は1000t/sクラスの洪水が年に何度もあるため
佐久間ダムの工事も出水が大変でした。
そんな狭い谷なのでダム湖の水深の浅い上流端にたまる土砂は
とても気を使わねばならない物であるという事なのです。