奥津発電所調整池 探索 その2


山に向かって伸びる平作原発電所への水を送ってくる水圧鉄管。
綺麗だな〜と見とれていました。

で、ここで写真を撮っていると横にあるゲートボール場にいらっしゃった
地元の方と目が合いました。

ぺこっと頭を下げたところにこにこと話しかけてくださいました。

「何を撮りに来られたんですか」
「貯水池なんですが。探しているんです」
「貯水池?」
「はい。このあたりだと思うんですが記憶がいい加減で…
この上流の恩原ダムみたいなコンクリートの格子でできた貯水池があると言う事で
探しているんです」

「コンクリートの格子でできた貯水池?」
「登録有形文化財に指定されている物件なんですが」

話しかけてくださった方が別の方にお聞きになりましたところ。

「コンクリートの格子の貯水池だったらこの上にあるよ」

と、指さされたのはこの目の前にある水圧鉄管。

「え・・」
「ここ上がって行ったら着くよ」
「え、で、でもここ、道ないですし」
「この鉄管の上歩いて行ったらええ」
「だ、ダメです。それはダメです。水圧鉄管の上を歩くのは中国電力の方に許可を貰わないと」
「横の山登って行っても行けるよ」
「え、よ、横の山ですか」
「行っておいで。中電の人そんなことで怒らないから」

水圧鉄管の上に目標物があると聞いたとしても
『そーか じゃ 諦めよう 』と普通なら断念するのですが
情報を下さった方は、是非行ってきなさいと力強くアピールされますし
周囲の方からも無言の期待の視線が…。

 あの貯水池がそんな立派なものをいただいてたんだね〜
 俺、この上にブロック運ぶ仕事やったことあるけどきつかったな〜
 ここにそんなに有名なものがあるんだね〜

と、貯水池の話題で盛り上がられまして引くに引けなくなりました。

日没までカウントダウンのこの時間に山登るって無茶もいいところ。

地元の方は山菜採りなどで気軽に利用されているのかも。
でなければこの傾斜の横を薦めたりされないでしょう。

期待(?)に応えなくてはと、30分かけて登ってきました。


そこで目にしたものは私が探していたものとは全く別の物でした。

た、確かにコンクリート製で扶壁ついてるけど
これは違うよ・・・


山頂にあったのは恩原ダムからの水を水圧鉄管に取り込むための水槽だったのでした。
小さくて綺麗でしたが探していたものとは全くの別物です。

帰宅後調べたところ
これは平作原発電所水槽という物で
立派な登録有形文化財でした。

という事で今度は下りです。
息切れしながら下まで降りたとき、情報を下さった方がどうだった?と聞いてこられました。

「あったでしょ」
「はい。でも私が探しているものと違いました」
「え、違ったの?」
「恩原ダムから水が来ているのは判ったんですけど・・」
「いや・・でもこのあたりにはもう他にそういうもの無いけどね」
「すいません。私の勘違いかも・・・」

と、ぜいぜい言いながら説明している時に、
先程は現場に来ておられなかった方が口を開きました。

「コンクリートの格子の貯水池・・・?」
「はい、120m位あるものなんですけど」
「・・奥津の方にある奴と違うかな」
「・・・奥津発電所?奥津の温泉街の対岸にある奴ですか」
「うん。たしか奥津にある奴かと思うよ」

なんと思いっきり勘違い。

コンクリート格子=バットレス=恩原ダム

という事で脳内のいい加減な記憶がこんがらがって
見当違いの所を探していたことに気付きました。

この時点で18:00を過ぎていました。

もう駄目だ…
今日は無理だ
諦めよう

と、がくがくになった膝をさすりつつR179に車を進めました。

しかし、奥津温泉が近付いてくると
やっぱり完全に日が暮れる前だったこともあり
未練が・・・

という事で奥津発電所を目指しました。


奥津温泉街にある奥津発電所です。


この発電所も登録有形文化財指定物件です。
今回私が探している物件も登録有形文化財です。

温泉街をゆっくり走り、山に向かう道を見つけて登りました。
一回勘違いをするとその後も勘違いを連発する
パニックに弱い自分ですがこの時は勘が当たりました。

暗い山道を登って行くと・・・

キター!!

これです。これなんです。

探していたバットレス構造の調整池

奥津発電所の為に造られた調整池でした。
平作原発電所の為に造られたものではありません。
きちんと記憶していないからこういうところで苦労する羽目に…
全く見当違いの場所でさんざん苦労してたどり着いただけに嬉しさもひとしお♪

でも夕暮れです。
時間がない。
大急ぎで見なくては!