ダム工学会中部近畿ブロック with Dam☆Night2022

関西電力 奥多々良木発電所 公式見学 その2


多々良木ダムから移動してきましたのは
関西電力 奥多々良木発電所 変電所です。


こちらに地下発電所模型があるという事で通していただいたお部屋。
壁にカーテンがあったので、あ、プロジェクター投影するスクリーンかなーと思っていたら…


うわああああ!!
カーテンでなに隠してるんですかぁぁ!


なんと先代の監視制御盤が保存展示されていたのです。


1号機から4号機の制御盤です。


この丸い部分で数字が機体ナンバーで
「P」がポンプで揚水しているときに点灯
「G」が発電機で発電しているときに点灯していたそうです。

現在の制御盤でも同じように表示されるということでした。


そしてこれが地下発電所模型です。

奥多々良木発電所を始めて見学させてもらったのが2002年でした。
その時に一枚だけこの模型の写真を撮っていて
この模型をもう一度ちゃんと見たいと思っていたのです。

しかし

少しは水力発電についての基本の基本程度の知識を深めているとはいえ
それでもやっぱり見ていて複雑すぎて
これをきちんと理解して説明できる自信がない。


迷路のような通路に水路に発電所に…
これが全部山の中にトンネル掘って造られているわけで…。
本物は全部山の中にあるわけで…。

知識のないころだったら
へー すごーい
で終わっていたと思いますが
鍋立山トンネルをはじめ、地下トンネル工事や
ダム再開発のトンネル工事を勉強した後だからかと思いますが
とんでもないものを見ている感。

シンプルに一本のトンネルをつくっているわけじゃなく
縦横に走る水路に通路にサージタンクに換気坑。
蟻の巣のような複雑さ。


手前に伸びている水色の管が多々良木ダムの貯水池にあった1号、2号取放水口へのルートです。
斜めに走っている赤いルートは増設発電所のケーブルトンネルになります。
下部調整池(多々良木ダム)のH.W.L 228.0mと L.W.L 199.5mも記されています。


模型で赤い部分が増設発電所です。
奥のベージュ色の部分が既設発電所になります。

水路から垂直に立ちあがっている頭に大きな部屋がついた水色の太い管が
放水路サージタンクになります。


それぞれの発電所から細ーい管が垂直に伸びていますが
これは換気坑だそうです。


制御盤に模型に貴重な宝物がたくさんあるお部屋の片隅に鎮座していたのは
2号機の水車の模型です。日立製作所様の作品。


本物も見られますよと窓の外を示されたので目をあげると
屋外に本物がいました。


巨大すぎる…。


こちらは中身が分かるように作られた水車の模型です。


フランシス水車はあちこちで展示されているものを目にする機会もありますが
こんな特殊な形状の水車の展示は見たことがありません。
巻貝のような羽根です。

ポンプアップする能力を高めるために羽根を長くして立てている設計なのだと
お聞きしたと思うけど…ちょっと記憶があやふやです。

揚水発電に特化した斜流水車は羽根の角度を変えることができる
可変式のデリア水車がよく使われていました。

最近は可逆ポンプ・フランシス水車を装備しているところが増えているようです。


模型で概要を学んでから地下発電所に向かいます。


発電所への搬入口には素敵なゲートのオブジェがあるんですが
これがスズメバチが営巣するのにとても環境が良いらしく
お気に入りでよく営巣されるので困っているというエピソードを耳にするなど。


ゲートをくぐってから1km以上トンネルを進みます。


到着しました。
増設発電所の入り口になります。


こちらが増設発電所方向。
通路は既設発電所にもつながっています。