ダム工学会中部近畿ブロック with Dam☆Night2022

関西電力 奥多々良木発電所 公式見学 その1

2022/11/11 更新


姫路にやってきました。


姫路なので真っ白・白白・白過ぎ城と称えられる美しい姫路城を見なくては。
鹿島建設様の素晴らしいお仕事♪
2015年の大天守修理工事が終わった直後はあまりの白さに愕然とするほどでしたが
その頃に比べるとすこし眩しさが落ち着いてきたように思います。


マンホールもこの通り。

◆ ◆

姫路に来たのは集合場所だからであって本日の取材は
関西電力様の奥多々良木発電所です。

ダム工学会中部近畿ブロックのwith Dam Night事務局の方の
車に積載していただき、本日の見学をお願いしている関西電力様の
多々良木ダムに向かいました。


奥多々良木発電所の下池、多々良木ダムに到着しました。


多々良木ダムのリップラップです。2018年に撮った写真です。

ご一緒していたダム工学会のエンジニアの方が一目見た瞬間
あまりの急勾配にびっくりしたという。

多々良木ダムはAFRD、アスファルトフェイシングロックフィルダムです。

CFRDと同じく、表面遮水なので堤体がコンパクト。
しかしそれでもやっぱりこの急勾配はドキッとしてしまうようです。


そして貯水池側。

うっそーーーー!!
どれだけ水位下げてるのーー!!
下池、空にする勢いで上池にお水満々なのーーー!!


これは普通の水位の多々良木ダムの写真…かな…。
普通…普通ってなんだろ。
運用が忙しすぎて何が普通か分からない。

とりあえず満水でも空でもない水位の多々良木ダムの様子。


洪水吐ゲートは地山に乗っかっているのがよくわかる写真になりました。


貯水池もこんなに裸地がくっきりはっきり。
お水、ほぼ全部、上池にあるようです。

貯水位にびっくりしてキャーキャー現場で騒いでいたら
多々良木ダムを管理しておられる関西電力 朝来水力センターの皆様が
お越しになっていたのでご挨拶。
落ち着け自分。

「さすがAFRD、堤体が立ってますねー」
「上下流面の勾配はどのくらいなんですか」
と、質問。

表面遮水のフィルダムを造るのに必要な機械、スリップフォームの能力から考えて
1:2.0くらいが標準と聞いていましたが・・・

「貯水池側1:1.8ですね」
「えええええええ」
「リップラップは1:1.75ですね」
「ええええええ!!×2」

びっくりしました。
そりゃダムを見慣れている専門家でも堤体が立っているのに吃驚するわけです。
それって御母衣並みの勾配なので。
今のゾーン型遮水のロックフィルから信じられないくらい急勾配なので。
さすが表面遮水♪


と、きゃーきゃー言っているときにさりげなく登場したブツがこれ!!

表面遮水アスファルト切り出しサンプル〜♪


厚さ33cmの内訳は

保護層 6cm
表層 6cm
中間層 8cm
下層 5cm
レベリング層 4cm
マカダム層 4cm

です。

中央の目の粗い中間層が重要。
ここで浸み込んできた水を捕まえて排水ルートに導く役目。


ゲートの上から洪水吐水路を見下ろしたところです。
めでたいことに、多々良木ダムのゲートは竣工から開かずのゲートだそうです。
良いこと♪


その開かずのゲートは丸島アクアシステム様の作品でした。


多々良木ダムの天端は時間制限はありますが昼間はゲートが開いていて
通行することができます。


天端から貯水池を見ると全方向に裸地が見えて貯水位の低さが際立って見えます。


ここで施設の説明を受けました。
手前の八角形の構造物は放流バルブの取水口。
貯水池奥に見えているのが1号、2号放水口です。
頭だけ見えているのが増設された3号放水口です。

奥多々良木発電所は関西電力様にとって
三尾発電所(1964年)、喜撰山発電所(1970年に続いて)
三番目に竣工した揚水発電所です。
1974年6から1975年5月にかけて
発電機1〜4号(出力30.3万kW×4台)が順次、運転を開始しました。

増設工事は平成6年から平成10年にかけて行われ
5〜6号(36万kW×2台)が運転を開始し合計193万2000kWで
日本一になりました。

最大使用水量は594.0m3/s
有効落差387.50m

東京電力様の神流川発電所が世界最大級の282万kWで計画されていますが
まだ、1号、2号機だけの運転、運用なので全台運転するまで
平成10年からずっと奥多々良木発電所が日本一の座をキープしています。


天端から直下を見下ろしたところです。
真下にあるのは地元、朝来市のあさご芸術の森美術館です。


美術館、元は奥多々良木発電所増設工事の際の
工事事務所だったというエピソードにびっくりしました。
今度行ったら痕跡を探してみよう。


そして木々の間にあるこちらの建物は関電様の宿舎だそうです。
宿舎の窓からお仕事場が見えるのです♪


天端にはこんなしゃれたデザインのベンチもあるんですが
普通に座ると貯水池方向しか見えないので
足を通して座ってパイプにもたれかかるようにすればよいのかと。


天端に等間隔についているのは変移を計測するマーカーの位置です。


左岸のアバット部にあるこの小屋から計測できるようになっています。


関電坊やが注意喚起。

いや、本気でものすごい水位変動あるので
絶対に貯水池に入らないでほしいです。