緑川ダム 見学 その2


主堤体の詳細なデータです。

放流設備はクレストにラジアルゲート2門と
オリフィスに高圧ラジアルゲート3門。
さらに選択取水設備と非常用放水管があります。
非常用放水管は何らかの理由で選択取水設備より低い水まで使う必要がある時や
水位を下げる必要がある時に使うものですので平時で使うものではありません。

堤高は76.5mで堤頂長は295.3m。

現場で感じた第一印象が凄くコンパクトな堤体だというものだったのですが
数字で裏付けされました。


堤敷も75.7mと堤高とほぼ同じくらいなので
断面図をざっくり言うと直角二等辺三角形ですね。

堤体導流壁の高さは6.5mで
減勢工を形成する副ダム横の擁壁の高さは22mもあります。

コンパクトな堤体なのにこの擁壁の高さを見ると
決してオーバースペックというわけではないですが
相当の洪水を考慮して設計されているのではと感じます。

洪水吐ゲートからの放流をしっかり受け止めて
水の暴れをぐっと抑える役目を担う減勢工。

副ダムの貯水池側が鉛直になっていて現在のスタンダードと同じです。
昭和30年代の重力式ダムで、副ダムの貯水池側ではなく下流側が鉛直になっていて
放流水が前にぶっ飛んでいくタイプの物もありましたので
副ダムの形状は必ずチェック。


そしてロックフィルの緑川補助ダム。
鞍部処理で洪水吐もなくシンプル。


でも35.0mもありますので当然のようにセンターコアフィルダムです。
勾配は緩め。
堤頂長は244.0m


緑川ダムと緑川補助ダムの位置はそれぞれこんな感じです。

あ、
なんか
堤体が折れ曲がった理由がふわっと分かった

川が思いっきり蛇行しているこのダムサイトだったら
この貯水池を造るために必要な天端標高と
川の流れに沿う形で設けられた放流設備の向きと勘案したら
左右岸を直線部結ぶと放流設備の向きがとても危なくなるからだ

だからゲートのある真中だけ川の流れに沿うようにして
左右の岩着部の位置を変えずに大きな貯水池を確保できるように設計したんだなぁ


常用洪水吐のオリフィスゲートからの放流の様子です。
緑川ダムは洪水調節回数も多いです。
竣工から令和元年までに71回の洪水調節を行っています。


展示の中でとても気に入ったのがこれです。
ラジアルゲートの動きが断面図でよくわかる。
ゲート部分も立体で作ってあるので実際に動かせるので理解度アップ。
設計図を基に作っているので正確。
子供より大人が喜ぶタイプの展示。


緑川ダムのお仕事の説明です。


コンパクトな堤体なのに緑川ダムのダム湖は4600万m3もあります。

川の防災情報を見ながらいつも応援している洪水時の防災操作。

なので洪水調節のイメージが強いですが
緑川ダムの流域では灌漑の要素はかなり大きいです。


緑川ダムの直下にあるのが熊本県の緑川第一発電所
すぐ下流には逆調整池も兼ねている熊本県の船津ダム
船津ダムの直下にあるのがやはり熊本県の緑川第二発電所です。
第三発電所もあります。

灌漑補給用の水を流す時にちゃんと発電所経由で電気作って
無駄なく何度も水車を回しています。
こういうの大好き。


小学生のダム見学で絶対大活躍しているであろう模型。
模型は大事です。
模型で見ると一発で理解してもらえること多いし。


情報室と管理所の間のコンクリート壁には
精度の高い苔アートが。
高圧洗浄機大活躍。