緑川ダム 見学 その1

2020/1/11 更新


熊本県の緑川ダムにやってきました。
国土交通省・九州地方整備局が管理する直轄ダムです。

15年くらい前にダム便覧の写真がどんどん充実してきたことで
ダム軸が曲がっているダムを写真で探したことがありました。
その時に富山の有峰ダムと並んで堤体がZ字型になっている事で
印象深く覚えていたのが緑川ダムでした。

左岸側が貯水池側に、右岸側が下流側に折れているのです。


こちらが緑川ダム管理所です。
お邪魔します。


緑川ダムは1971年(昭和46年)に完成しました。
もうすぐ50歳になるそうです。


管理所内に飾られていた素敵な絵。
天端レベルでこう見ると堤体が折れているのがわからないなと思っていたら…


なんと同じアングルで撮った写真登場!!
わぉ!!
凄い!!
折れてるの解らない。

そして絵でも写真でもはっきりわかるのが右岸鞍部処理のロックフィルダム。
緑川補助ダムです。

ここで鞍部処理が必要とは下流側もすごく蛇行しているし
相当、複雑な地形だったのだなと思いました。


緑川ダムは国土交通省のダムですが
右岸側のダムと貯水池の横がレジャー施設として整備されています。


管理所の所長様の部屋からみた緑川ダム貯水池。

所長様からお話を聞きました。

「私がここに赴任してすぐの頃の事ですが」
「はい」
「ここで窓を開けたら」
「カメムシに襲われたと」
「いや…カメムシは多いですけど」
「すいません」
「女性の悲鳴が届いたんですよ」
「え・・・(それってまずい奴では)」
「楽しそうな」
「楽しそうな悲鳴?」

「これが原因でした」
「…ジップトリップ…!! ええっ!!緑川ダム、ダム湖横断ジップライドやってるんですかっ!!」
「はい。ダム湖を横断するのは国内ではここだけだと思いますよ」
「やりたいやりたいやりたいっ!!ジップライド、すごくやりたかったんですっ!!」
「今日は雨ですし無理です」

「ぅぅぅぅ…ざんねん」


フォレストアドベンチャー・美里
こちらで紹介されています。
熊本県に初登場、というよりやっぱり
ダム湖横断初登場というのが売りになってほしい。
ジップライド、今度来ることがあったらぜひ体験したいです。


緑川ダムの貯水池は肥後みどりかわ湖です。


立派な資料館があります。
資料館の名前はみどりっ湖情報室。


中に入ってすぐ、右岸からの堤体俯瞰写真がありました。


こちらは昭和47年9月の左岸上流方向からの写真。
竣功の翌年ですね。

そしてじーっと見ていてやっぱり気になるのは
ダム軸、どうして曲げる必要があったのかということ。

直線で左右岸をつなぐと何らかの不具合があったから
曲げたのでしょうけど。

重力式ダムで堤体の端だけちょっと曲げる例はたくさんあって
理由は構造的理由、地盤由来のほかにコストとか
工事誌見ないとよく分かりません。
最近のダムでは工事誌も作らないことが多くて
昔のダムは作ってくれているからホントにありがたい。


情報室には堤体の詳しい図面が展示されています。
重力式の主ダムの上流面図と標準断面図。


そしてこちらは鞍部をふさぐロックフィルの補助ダムの上流面図と標準断面図。
堤高35.0mもあります。
重力式の主堤体と接続はしていないので独立したひとつのダムになります。