真立ダム 見学 その4


目視できたとはいえまだまだ道のりは長いです。
冬季隧道の横の線路を黙々歩く。
ひたすら歩く。


1時間以上歩いて来たでしょうか。
大きめの建物が目に飛び込んできました。

階段があったので建物の方へ上がると
北陸電力の社員宿舎であることがわかりました。
ヘリポートも付いています。


そして社員宿舎の前から下を見るとそこにバットレスが!

ついに真立ダムに到着です。

疲れもぶっ飛ぶその姿♪


見事なバットレスです。
ほっそりした扶壁は真川ダムにそっくりです。
建設当初の気配がはっきり残っているように見えます。


左岸のダム湖側です。
ああ、この傾斜がバットレス。
しかもとても古いコンクリートの色が朝日の下で素敵です。

真立ダムは昭和4年(1929年)、真川ダムと一緒の年に竣工しました。
戦前のコンクリートです。


奥に見えている大きな建物は小口川第三発電所です。
元気に発電のお仕事中らしく発電所につきものの重低音がここまで届いています。

発電所に向けて左岸に軌道が続いています。
資材を発電所に運ぶために発電所まで引き込み線が付いているようです。

ヘリコプターが活躍するようになったとはいえ
建設当初から資材運搬の主役はやっぱり軌道なのです。

しかし使用できるのはレールが整備されている区間ですから
下界と直結というわけでなくダムと同じ標高の
平坦な道の半ばからという事になります。
現在はどのくらいの頻度で使われているのかわかりません。


ダム天端です。
左岸の端っこをまたぐように階段が付けられていて
それを登ったところから。

改修は何度かされているようです。
建設当初の姿をとどめているバットレスは丸沼だけだと聞いています。
だから丸沼は国指定の重要文化財になることができたのです。

でも・・真川でもそう思ったけど
この堤体がそんなに形を変えているとは思えませんでした。

このコンクリートの肌は何年も何十年も
雪と寒さと戦ってきたコンクリート

工事をしようにもここに来るだけで大変なのに
造られた時から形を変えるほどの工事があったとは
にわかに信じられないというのが現場で感じた印象でした。

これについても常願寺電力部の方に確認したところ
大規模な改修は一切行っていないという説明を受けました。

実際にした補修は凍害に対して扶壁部分に結晶増殖剤というものを注入しているだけで
形状に変更はないとの事でした。

やっぱり真立と真川は建設時の姿を留めているバットレスだったのです。