転石ダム 見学 その2


堤体の右岸側です。
水道用水源ですから不法侵入者対策でフェンスががっちり張り巡らされていました。


転び石ダムの特徴の長い首部。
長い襟と行ってもいいかもです。

川崎先生の著書、『日本のダム美』で詳しく記されていますが
これは工期の短縮にかかわる工夫なのです。


底樋のポータルは後ほど近くまで行って見せて頂けるとのこと。


まず目指すのは天端です。
カスケードの大きな段の数だけ階段があります。
連続でないので足が疲れなくて助かります。


天端に到着しました。
この天端に対して下流側からはいるデザインは
時々古いダムで見られますがお洒落だなと思います。


左岸の天端より少し低い位置から見通した堤体です。
転石ダムは堤高が27.0mに対して堤頂長が164.0mと
かなりの横長堤体です。


転石ダムの特徴の一つはこのプレキャストコンクリートブロックです。
当時高価だったはずのコンクリートブロックを用いた理由については
『日本のダム美』に詳しく記載されていますのでぜひご覧ください。


天端に来ました。
立派な親柱です。
銘板の類は埋め込まれたりしていません。


洪水吐の越流部です。
水路側に段々が設けてあるのは本河内低部ダムや
一の井手ダムでも見られたデザインです。


天端を見通したところです。
高欄は重厚ですが低いです。

現在の安全基準でいうと一般公開する時の障壁になるこの低さ。


天端から見下ろしとこれまた転石ダムならではのビュー。
首部の垂直部分の割合が多くなるので両岸に近いところでは
壁だけのような不思議な光景が見られるのです。

ここで重力式ダムについて勉強している人なら思い浮かぶであろう疑問。
壁だけに見えるくらい堤体積が少なくて大丈夫なのかという疑問。

大丈夫なのです。
その分、貯水池側に裾広がりになっているので堤体積をちゃんと稼いでいます。


歩いているとどこからともなくかすかに耳に届く水音。

きょろきょろしていると川崎先生が教えてくださいました。
転石ダムの堤体には20か所もの横継目がありそこに止水板と
止水板の下流側に鉛直排水管を設けているのだそうです。
その漏水の流水音が鉛管で響いて少し大きく聞こえていたのでした。


取水塔にやってきました。
半円型で建屋はなし。

天端の高欄と高さが揃えられているのでとてもスタイリッシュ。
遠くから見た時も突出物なしのすっきり天端。


ここもコンクリートブロックのようです。

他の海軍さんのダムでも見られたことですが
終戦時に設計図の類が処分されてしまっていて
詳しい事が謎なのです。

転石ダムの取水塔内部はほとんど漏水もないという事で
どんな高度な施工がなされていたのか川崎先生も
気になって仕方がないそうです。


天端から見た下流の様子です。
市街地を挟んで向こうの山には相当ダムがあります。
次に行くところ。