不動谷ダム 見学 その5


ひたすら水路の中をばっしゃばっしゃと進んでいきます。
途中で壁に数字が出てきて、どれだけ進んだかを確認できます。


水深は10cmから深いところでは40cm近くあったり
一定ではないのでとにかく足元に全神経が集中します。


最初に少し曲がり角はありましたが水路は一直線
真っ直ぐ進むだけなのでそちらに神経は使わなくてよいのです。

あと、山の中のこんなトンネルでは
まず一番の心配がコウモリとか虫なのですがそれも全然居ません。

クモの巣っぽいけど天井から細い糸一本を垂らしている物ばかり
目につきますが大した長さでないので顔に触れたりもしませんし
とにかくひたすら足元だけに集中っ。

ばっしゃばっしゃ ばっしゃばっしゃ


最初の水路を半分くらい進んだあたりで
前方からすごい水音が耳に届き始めました。
水深も微妙に深くなってきています。

2km近く歩いて最初の水路トンネルの開口部が目視できるようになると
何やら不穏なものまで目に入ってきました。

「うわぁぁぁ!!」
「なんですかーっ これはっ どこからの水ですかーっ」

どどどどどどどど

ものすごい勢いで鉄管から水路に水が届いていたのです。

体を横にして何とかすり抜ける。


「ここの谷は小不動谷といいます。
この谷の上流に小さい堰堤があって
そこからの水を不動谷ダムに届けるための注水口です」
「勢い凄過ぎですよぅぅ!!」


現在地はここ。
地図で見るとこの辺りです。
全行程の5/6くらいは進んでいます。


あ、動力式コンクリートダムの呪い。
“動”が“重”になってる。
こんなところで逆になる呪いかかってた。


小不動谷水路橋からはゴールの光が見えています。
あと少しで不動谷ダムっ。
頑張る。
ばっしゃばっしゃばっしゃばっしゃ。


ついに到着しました。
この先は貯水池です。


貯水池に落ちるわけにはいかないので
最高に足元に注意を払いながら出て行きます。


ついに到着しました。
中部電力様管理ダムで到達困難度最高レベルの不動谷ダム。

やった…
不動谷ダムに着いた…
無事に着いた…


到着しましたがまだ足元注意。
気を抜いてはなりません。


不動谷ダムです。
堤高は20.5m
堤頂長は44.0m

大変コンパクトな堤体ですが

そもそも

ここがどれだけ秘境で
ここがとれだけ辺地で
ここにダムを造るとかどう考えたら計画できるのっ!!

という事を考えたら
この場所にダムがあること自体が不思議過ぎ。

人がたどり着くこと自体が困難なはずなのに!!


なのに一般の人向けのサイレン吹鳴の注意書がちゃんとある。
このあたりがもう謎過ぎる。


右岸の固定堰の上にかかる管理橋に進みます。


「わーー。すごく苔が綺麗ですね♪」
「はい。ほんとにこの緑が綺麗なんですが
下流から見上げると右岸にある樹木の枝葉にさえぎられて
全然見えないんですよ」
「こんなに綺麗なのにー」

出水があれば流れて行ってしまうのでしょうけれど
そこは日本一の多雨地帯、大台ケ原ですから
苔もすぐ復活すると思われます。