出し平ダム 見学 その4


出し平ダム至近距離♪

あ・・天端が凄く緩やかにカーブしてる
曲線重力式という程曲がってるわけじゃないけど
ダム軸、変わってる

トロッコから見る数十秒では絶対に判別できなかったこの天端の緩やかなカーブ。

帰宅してから工事誌で調べたところきちんと理由がありました。


「あれ、なんて書いてあるか読めますか?」
「・・出し平って・・漢字ですかっ!!」

教えて頂いて読み取れた『(関西電力ロゴマーク)出し平』のトピアリー

ああああ。
ひらがなやカタカナならともかく
漢字でトピアリーに挑戦するなんて
関西電力様、どこまでチャレンジャーなのかと。


天端と同じレベルから見ると天端の曲がりは少ないので殆ど分からない位です。
でも見下ろしで見ると曲がっているのが分かるので
色々な高さから見せていただけて喜ぶ。

中央にクレストゲートが3門。
その左右にどーんと設置されているのが排砂ゲートのスライドゲートです。

この日の水位は水深13.1mくらいでした。
出し平ダムの利用水深は18.0mです。
しっかりお水溜まってますね。


管理所前で基本情報を学ぶ。

黒部川とはどんな川か。

急流河川
国内最大級の年間降雨量
そして
崩壊箇所が7000箇所

崩壊箇所が7000もある!
このパネルを見て、きーっ!!となったのが棒グラフ。

「これひどい」
「利根川少なすぎ」
「流域面積あんなに広いのに全然崩れてないなんて反則だ」

と、利根川に嫉妬して憎くなるほどのグラフ。
羨ましいったらないです。
いいなー
崩壊地少なくていいなー

意外なのは天竜川。
あれだけ凄い流域なのに崩壊地の面積は黒部川の1/3くらいしかない。
泰阜・平岡・佐久間を苦しめている原因は
36水害が全部悪いのかと思いたくなる。


こちらは黒部峡谷鉄道の宇奈月駅構内でも見られる
黒部川のダムと発電所のイラスト地図。

本川の黒部川には黒部ダム、仙人谷ダム、小屋平ダム
出し平ダム、宇奈月ダム(国土交通省)、愛本堰堤(富山県)があります。

支川の黒薙川には北又取水ダム(取水堰堤)、二見取水ダム(取水堰堤)があります。

黒部の深い峡谷が愛本地点で扇状地になるまでの間にある発電所は11か所です。

黒部川第四発電所
新黒部川第三発電所
黒部川第三発電所
新黒部川第二発電所
黒部川第二発電所
黒薙第二発電所
新黒薙第二発電所
新柳河原発電所
宇奈月発電所
音沢発電所
愛本発電所

そこにまた一つ発電所ができる事になりました。

いま建設中の出し平発電所です。
河川維持流量を利用してダム式の発電所が増設されるのです。

お水を無駄なく大事に使う水力発電。
何度も何度も水車を回して電気を作って
黒部川の水は富山湾まで届くのです。


出し平ダムの諸元です。

出し平ダムに貯められた水は
下流にある新柳河原発電所と音沢(新愛本)発電所の二か所に送られます。

更に堤体から河川維持流量で流された水は宇奈月ダムに届き
新柳河原発電所で使用した水とともに
宇奈月ダム直下にある宇奈月発電所で電気を作ります。

現在は出し平発電所工事のため放流バルブも付け替えになりますので
代わりにクレストゲートから河川維持流量を代替放流しているわけです。


そして宇奈月ダムの展示スペースだけでなくあちこちで見てきたこの排砂ゲートの図。

大切なのはこのローラーゲートの戸溝に入る脚部分なんだそうです。
イラストの中で黄色に塗られているところです。

この脚がゲートを開いて排砂を行う時に
戸溝を塞ぎます。
ぴったり埋めて排砂路の壁との段差を可能な限り小さくする為に在るものです。
ほんの僅かな段差でも黒部の砂で部材が削られるのです。

排砂路はライニングで保護しながらも段差が無い状態でぴしーーっと滑らかにしておかないと
黒部の激流と押し寄せるとんがった土砂や礫に痛めつけられるわけです。

排砂のメインはローラーゲートで
水量はラジアルゲートで調整。
もしローラーゲートに不具合が起きた時にはラジアルゲートが肩代わりできるように
鋼材はいずれも最高品質の鋼が選ばれています。

そしてローラーゲートを閉める時に戸溝に砂が噛んでいたらこれまた大変なので
戸溝の脚部分には砂を洗い流せる水の噴射口も付いていて戸溝を綺麗にしてから
ゲートが閉められるという実に複雑な構造になっているのです。

きっちり説明を頂いて
今までの自分の理解ってなんて薄っぺらくて
本質を見ていなかったのだろうと恥ずかしくなる。

もっと勉強しないとだめだな自分。