120歳の布引五本松ダム その2


貯水池上流端から布引五本松ダムの堤体の方へ貯水池の横を歩いて行きます。

貯水位が低い時には上流側の石と平成17年に完成した
布引五本松堰堤補強及び堆積土砂撤去工事で設けられた
補強コンクリートを見ることができます。


上の白っぽいところが元々の堤体の天然石。
段の下で少し色が変わっているところから下が
2005年に完了した補強工事の部分腹づけ部分です。
型枠コンクリートじゃなく、ちゃんと白御影石が張られているところが
神戸クオリティ♪


中間駅からのショートカットで降りて来るといきなりここに到着します。
水天宮の横に流れる放水路の真横です。

水路には貯水池上流端の分水堰堤から流れてきた水が
隧道を経由して届いています。
これが国内二例目の排砂バイパストンネルシステムです。


これは満水時の写真です。
貯水池の周囲の山から入って行きた細い木々が越流部に溜まっています。
巨木はありません。


余水吐からさらさら越流しています。
これだけ水が出ている時は“浅見の滝”にも期待が膨らみます。
“浅見の滝”については後で説明します。


布引五本松ダムは非越流堤体です。

今時の中央越流型の重力式ダムしか知らない人には
すぐには分かりにくいようですが、余水吐・非常用洪水吐は
堤体の横に設けられているのです。


管理橋はお洒落なデザインで鋼材の一部は
ダム建設時に資材を運んだトロッコのレールを転用していますので
愛でてほしいポイントです。


満水になると補強コンクリート部分は綺麗に水没します。
補修されて強固になって美しさも損なわれていない素敵な堤体。


管理橋から振り返ったところです。
放水路隧道の出口からしっかりお水が出ているのですが…
角度的に腕を伸ばしても撮影限界。


これはDamMapsで見た俯瞰図です。
堤体が左下、余水吐が上に、そして余水吐から続く放水路は
カーブしながら堤体の下流の川に接続しています。

この余水吐越流部は竣功時から何度か改修工事を経て現在の姿になりました。

『布引水源地施設記録誌』から。
昭和13年以前に撮影されたとされる古写真や
昭和31年の写真では管理事務所の建屋が確認できます。
写真左上にあるのが堤体です。
堤体の端に可愛い事務所の建屋があります。

建設当初の余水吐は2門でした。

戦後に放水路の整備が行われて越流長がぐーんと長くなりました。
同じ量の水でも狭いところから出そうとすれば
水の厚みは増すし勢いも増すしあまりよろしくないですが
水の厚みを抑えてさらさらと流れ出るようにするととてもよい♪

更に昭和46年の整備で今の形になりました。
赤枠の部分を綺麗に成形して
放水路の河床もぐぐっと堀りこまれて深くなりました。


貯水池の満水面と放水路の河床の落差はこのくらいです。


天端はとても高欄が低いのです。
なので立入禁止です。


天端の横、旧事務所跡のスペースにはダム銘碑です。
明治33年3月竣功の文字。
堤高も33.3mですし三兄弟ですし布引五本松ダムは“3”が多いですね。


肩書きはたくさんあります。
ダム湖百選、近代化産業遺産、そして国の重要文化財です。


管理事務所の窓から見えていたであろう堤体のアングルを愛でたところ。


ホントに美しいデンティル。
英国の風を感じるスタイリッシュな堤体最高♪


天端広場の説明板です。


新神戸駅からロープウェイを使わずにハイキングルートを登ってきた場合は
ここにある地図が分かりやすいと思います。
重要文化財施設も明示されています。