120歳の布引五本松ダム その3


左岸のつづら折り。
一番堤体が綺麗に撮れるポイントです。


下りすぎると木でどんどん堤体が隠れてしまうというジレンマ。
木はどんどん成長するので年々撮りづらくなっていくのは仕方がないです。


神戸市水道局の六剣水と堤体です。
明治時代からの由緒のある紋です。


そして中々の美麗水量で姿を現している時の“浅見の滝”です。

普段はほとんど水が流れていませんが
貯水位が満水の時や上流からの水が多い時にだけ出現する滝です。

堤体と同じ落差をこの距離で流下させるのですから
必然的に滝が生まれてしまいます。

偶然でこの形になったわけではなく
ちゃんと海外の事例を参考に山を開削して造られているのです。


正式名称は“五本松かくれ滝”だそうですが
個人的に現場監督を務めた浅見忠治技師の名前がついている
“浅見の滝”という呼び名が好きなのでそっちで呼んでしまいます。


説明がなかったらただ、ここに滝があったんだなという風に見えちゃいます。

このどこから見ても自然な造形は実は人工的に作り出されたものなんだよと
ちゃんと説明書が現地にあるのが土木マニア的嬉しいポイント。


堤体直下のフェンス越しに桜と堤体。
どうしてもその電線が残念。


すぐ下流にあるのが谷川橋です。
これも普通の橋のように見えますが重要文化財です。
大正初期にかけられた鉄筋コンクリート製の橋です。

なので鐡筋混凝土橋と書きたい。
鐡筋混凝土♪


どんどん下って行きます。
この見晴らし展望台をすぎて布引の滝の方へ進みます。


布引の滝に到着しました。

布引の滝は自然に任せていると姿を現さない事も多いので
名勝として神戸市水道局様が協力してくださっています。


現地の説明板の図。

ざっくり言うと昼間だけ美麗水量で出現する滝です。
そしてただ流すだけではなくちゃんと下流で取水して
浄水場に送っていますのでまったくお水を無駄にしていません。

水を大事にしつつ景観への配慮も欠かさない素晴らしい気配り。


個人的にいつも気になってじーーーっと見入ってしまうのがここです。
布引の滝のすぐ下流。
鼓ヶ滝取水設備の一つ上の堰。


越流部がこんなにエッジ効いているのが珍しくて。
こんなに鋭いエッジの越流部なんて島根県の千本ダムしか見たことないです。
和鋼・玉鋼の斐伊川にある刀身を彷彿とさせる千本ダム。

うーん。
どうしてこういうデザインにしたのか
気になって仕方がない。


この後かなり下り坂が急になってくるので足元注意で進んでいきます。


布引渓流でいちばん下にある雌滝取水堰堤です。


大変美しい取水堰なのでここもぜひ愛でてほしいポイントです。


新神戸の駅のすぐ裏にある砂子橋に到着しました。

普通の橋に見えますが重要文化財の水路橋です。
正式名称は布引水路橋。


ここから進むと目の前に新幹線の新神戸駅の駅舎が現われます。
地下鉄の駅も目の前なのでここまで帰ってきたらその先は
三宮に美味しい物食べに行くのもいいですし異人館回りもよいし
他のダムを回るのも可能です。


神戸市水道局堤体三兄弟。
長男 布引五本松ダム
次男 烏原貯水池・立ヶ畑ダム
三男 千苅ダム

神戸市水道局の堤体三兄弟はいずれも大変スタイリッシュな
英国の風を感じられる美麗堤体です。

武庫離宮・天皇の池を含めると一日で回るのは少し難しいかもですが
せっかく会いに行くならじっくり時間を取って一基ずつをたっぷり愛でてほしいと思います。


そして神戸に来るなら神戸市水の科学博物館にも行って欲しいです。


神戸水道発祥の地なのでぜひ。

という事で布引五本松ダム120歳おめでとうレポートでした。