日本ダムアワード2022 長井ダム

前線に伴う出水における白川ダム・長井ダム・寒河江ダムの防災操作(洪水調節)効果について
を更に読んでいきます。
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白川ダムの次に紹介されていたのが長井ダムです。
2011年に完成したばかりの重力式コンクリートダムで
堤高は125.5m、総貯水容量は5100万m3です。

長井ダムの洪水調節容量は2700万m3です。

洪水調節方式はゲートレスなので自然調節方式になります。

古い写真になりますが2011年、竣工した年の長井ダムです。
コンクリートが白白♪

ゲートレスダムですのでゲートレスオリフィス2門とゲートレスクレスト3門です。

晩秋の頃だったので水位はこのくらいでした。

ズームして水位標を撮影。
洪水時最高水位はEL392.10mです。
最上川ダム統合管理事務所の長井ダムのページで紹介されている洪水調節図です。
昭和56年6月に発生した洪水の引き延ばしで二山洪水波形です。
最大流入量を1000m3/sで想定しています。
ゲートレスダムなので放流曲線は滑らかカーブ。

8月3日19:12の川の防災情報でみた最上川水系・置賜野川のナウキャストと
長井ダムのCCTVカメラ映像です

川の防災情報で見た長井ダムのハイドログラフとハイエトグラフになります。
ちょっとおかしい数値がハイエトグラフに出ています。
というかハイエトグラフの縦軸の数値がおかしい。
ここに表わされるのは時間雨量です。
時間雨量の数値軸が120mmまで表示されていることが変。異常。
記録的短時間大雨情報じゃないのです。
今回の豪雨は最上川水系における8月の降水量と
長井ダムの最大流入量で歴代1位となる凄まじい雨でした。

長井ダムから近い雨量観測点のひとつ、深沢では88.0mm/hという
南東北においてこれはない!!というほどのとんでもない雨が
8月3日18時から19時にかけて降ったのです。
この塊のような雨によって長井ダムの最大流入量は718.74m3/sに達しました。
この時の放流量は111.70m3/sです。
18:50から19:00 流域平均 10分で40mmという信じられない数値が観測されています。

リアルタイムで取っていた川の防災情報の長井ダムのデータに数字がありました。
10分で40mm
地点雨量じゃない
流域平均 10分で 40mm
えげつないっ!
自分が知っている中では、宇治川の守護神・天ヶ瀬ダムが孤立した
2012年8月13日から14日にかけての京都府南部豪雨がこれに匹敵する雨でした。
天ヶ瀬ダム地点雨量で4時台から6時台70mm/h、34mm/h、62mm/h
という集中豪雨が発生しダムへの道、近傍の高速道路などがすべて
あっという間に土砂崩れで不通になりました。
この雨が降っているとき、離れた奈良市内にいた自分も
凄まじいサンダーストームを経験しています。
わずか10分で町全体が40mmの雨水に襲われるという事を想像してみてほしいです。
あっという間にその水は低い所へ、川へと流れていきます。
中小河川であれば数分で河積は満杯になってしまう事でしょう。
そして地中に浸み込んでいく速度を上回る雨は表層水になり
表土や木々、伐採された後、山に残ったままの間伐材などと共に
流れ下り、堤防を壊し、橋を落とすこともあるのです。

「川防見るやつ」で描画された見やすいグラフ。
貯水位の曲線と放流量の曲線がぴったり同じ形♪
これほどまでにとんでもない雨が来ても
まったく動じることなく、淡々と、洪水をため込んでくれた長井ダム。
ものすごい安心感と頼もしさです。
ただ、上流の木地山ダムへと続く道はこの異常な降雨により通行止めになりました。
そして長井ダムも下流の道に土砂が崩れ落ち、一時的に孤立したそうです。
非常食と電源さえ確保できていればダム管理所で籠城は想定内っ!
ということで、ダムの管理業務を頑張った皆様は丸1日以上、ダムにとどまられたという事でした。