ダムアワード2022 三面ダム・奥三面ダム
最上川も被害甚大でしたが県境を越えて日本海側、新潟県では
更にひどい雨が居座り、信じられない雨量が観測されたりしていました。
そんな新潟県で今回、頑張ったダムたちの代表として
注目したのが三面川の三面ダムと奥三面ダムです。

新潟県が管理する三面ダム。
三面総合開発の要の発電を頑張ってくれるダムです。
もちろん、洪水調節もしてくれます。
お仕事はFAP。

新潟県の県管理ダムで最大の貯水量を誇る奥三面ダム。
総貯水容量、1億2550万m3。
1憶m3超えはホントに頼もしい。
こちらもお仕事はFAP。

長い長い新潟県の北の端、村上市の山の方にある三面ダムと奥三面ダムです。

とんでもない雨域が居座っていた頃のナウキャストに三面ダムと奥三面ダムを重ねてみました。
この雨で三面ダムは緊急放流(異常洪水時防災操作・但し書き操作)を実施しました。
三面ダムの緊急放流のお知らせについて
新潟県からの発表資料です。
8月3日の22:05から異常洪水時防災操作を始める事が記されています。
8月4日の03:50に異常洪水時防災操作は終了しました。

川の防災情報の三面ダムのハイエトグラフとハイドログラフになります。
8月3日の12:00頃にとんでもない雨が降っていることがハイエトグラフから読み取れます。
この時の雨量が81.0mm/hでした。
そしてその後も雨が続いたために20:00頃から洪水時最高水位に迫る勢いで
水位が上昇し続けています。
川の防災情報で確認した最高水位は23:00のEL122.37mでした。

8月4日05:40時点でEL121.82mになっていました。
異常洪水時防災操作は終了していますが
まだ、じりじりと流入量に合わせて貯水位上昇を食い止めつつ
後期放流に向けて放流量を上げていかねば…と
なっている状態かと思われます。
8月4日朝、NHKのニュースでは大雨と区別警報の範囲が
山形県南部だけでなく新潟県の村上市、関川村に拡大していました。
続いてでてきた24時間雨量に息を呑みました。
24時間で500mm超って…
南東北で聞いたことのない雨量です。
大雨特別警報が出ているエリアに緊急安全確保が報じられました。
そして目を疑ったのがこの数字です。
「時間雨量」 「149mm」 「新潟 関川村 下関」
そして信じられない数字は現在進行形で増え続けていたのです。
24時間雨量はさらに大きな数字になっていました。
明るくなりはじめ、防災ヘリが現地を飛ぶようになり
水害を受けた地域の様子が映像で流れるようになってきました。
最も降雨がひどかった荒川流域の関川村では道路が落ちたようです。
画面は8月3日の16:30過ぎの新潟県村上市の高根川の映像です。
この豪雨でもっとも被害が大きかったのは三面川流域ではなく
荒川流域でした。
山形県と新潟県の大きな被害が出た場所を示した地図です。
最上川では越水、浸水
荒川では土砂災害
そして何度見ても信じられない数字。
「1時間149ミリ 猛烈な雨」
日本記録の長崎大水害をもたらした降雨による
長崎県長与町の187.0mm/hには及びませんが
東北でこの雨量というのは過去に例がないと思います。
“1000に1度”級の降雨だった平成29年7月5日の北九州水害でも
福岡県朝倉市朝倉地点での129.5mm/hでした。
記録的短時間大雨ではなく、きっちり一時間降り続いての値です。
この時、朝倉では24時間雨量で545.5mmを観測しています。
今回の新潟・山形の雨はこれに匹敵する降水量だったのです。
村上市でも土砂災害が発生して大変なことになっていました。
被害が非常に大きかった荒川流域の小岩内地区の様子です。
この地区では羽越水害の教訓を生かして避難所よりも高い場所に
避難する行動を早くから取っていたという事で人的被害が極めて少なかったところです。
防災意識と行動が素晴らしいです。
小岩内地区は荒川が峡谷から平野にでてくるところ
荒川頭首工のすぐ近くです。
このあたりで土砂崩れが多発していました。
山があちこち滑っている映像が流れた時に
北海道胆振東部地震の映像が頭に浮かびました。
怖い怖い怖すぎる。
新潟県 土木部河川管理課 令和4年8月3日からの大雨について
のページで情報がまとめられています。
新潟気象台の発表資料です。
大雨の中心は関川村から村上市でした。
右側にあるグラフ二つの上は奥三面ダムの雨量です。
60mm/hを超える雨が二回もやってきました。
降り始めからの累加雨量は420mmに達しました。
下は153mm/hを記録していた村上市坂町観測所の値です。
降り始めからの累加雨量は589mmにも達しています。
関川村の下関観測所の149mm/hで腰を抜かしていましたが
更にとんでもない観測値がでていたのです。
ダムの洪水調節状況になります。
新潟県の管理ダムで防災操作を頑張ったダムたちの地図。
ひとつだけ赤くなっているのが三面ダム。
異常洪水時防災操作を実施したので赤色になっています。
各ダムのデータも公開されていますが村上市の三面ダムと奥三面ダムの流入量が
桁が違っていて別ステージに入っているのがよくわかります。
こちらの三面ダム等効果で詳しいハイドログラフを見ることができます。
三面ダムは異常洪水時防災操作を6時間近く実施しましたが
下流では荒川流域のような被害は出ていませんでした。
効果を示してくれていたのは緊急対策として三面川下流で
樹木伐採や河道掘削の「防災・減災・国土強靱化のための3ヵ年緊急対策」で
河積を増やしていてくれたからです。
河道掘削はホントにホントに効果が見えるので素晴らしいです。
コストかかりますけど浸水被害が発生することを考えたら絶対にお得です。
河積増大とダムの頑張りで三面川下流はしっかりと守られていたことがわかりました。
三面ダム等効果に掲載されている三面ダムのハイドログラフです。
異常洪水時防災操作になっているのかが示されています。
洪水時最高水位はサーチャージ水位で書かれています。
異常洪水時防災操作開始の目安になる水位はEL122.0mです。
三面ダム見学時に現地にあった説明板の図です。
平成16年のものだったのでもしかしたらその後に来た洪水に対して
アップデートされているかもしれませんが、一つの目安としてこの数字でハイドログラフを読んでいきます。
今回のダムへの最大流入量は1028m3/sでした。
計画最大には及びませんでしたが、但し書きになっています。
それはもう、ただ、ものすごい雨が塊で短時間にやってきたから!!
これに尽きると思います。
ゲート操作が追いつかないくらいの勢いで襲ってきた塊の雨。
なので最大放流量を779m3/sまで持って行ってなんとか
貯水位をコントロールしたという感じかなと。
そもそも、洪水開始時の貯水位は洪水期制限水位より1.0mくらい低かったようですし
降り始めからのステップもきれいに上がっています。
どこで但し書きの判断がなされたのかというと
22:05に開始なので3時間前には判断されていただろうと
なので19:00〜20:00くらいの状況がどうだったかというと
まさにこの時に最大流入量が観測されていたのでした。
川の防災情報から提供されていた三面ダムの観測値のExcelデータです。
17:00に洪水量に放流量が到達したのでこれから一定量で放流しようとした矢先に
とどめを刺すかのような37mm/hの雨。
よく頑張られたなと思います。
そして三面ダムよりとんでもない流入があったはずの奥三面ダムですが
こちらは余裕の余裕で完璧に貯留を決めてくれていまして
あまりにも美しいお仕事っぷりに非の打ちどころがないハイドログラフとなっているのでした。
大きな貯水池は正義なのです♪