立野ダム建設現場 見学 その2


現場は吃驚するくらい、きゅっと狭まった谷底です。
高さの異なるブロックが少しずつ背を伸ばしてきていました。


現場にあった全体平面図です。


堤体の左岸側にどーんと通っているのが仮排水トンネルです。

「たしか仮排水トンネル造っている時に熊本地震、きたんですよね」
「そうなんです」
「ニュースを見てすぐ、こちらの現場に顔を出していたという方に電話したら
まだ仮排水トンネル造ってる途中だから堤体には着手していないし大丈夫といわれて」

「いやー…仮排水トンネル掘っている途中だったので…」
「はい」
「セントルが拘束されてしまって…」
「!! 惨事じゃないですか!!」
「大変でしたー」

飛騨トンネルをほうふつとさせるエピソード。
いや、TBMじゃないけど。
NATMで掘ってたから。


現在地、展望台。
バッチャープラントはすぐ近くです。


そして道路から見えていた軌索式ケーブルクレーンの鉄塔二つの位置。
右岸の下流側にあるのがB鉄塔、上流側にあるのがC鉄塔と名前が付いています。
左岸側の鉄塔がA鉄塔です。

この円弧の範囲でコンクリートバケットがきびきび移動し
良いコンクリートを運んで素敵な堤体が立ちあがっていくのです。


エレベーターの立坑発見。


左岸側の工事用道路が凄くくねくね。

「後で行くのでその時に見てもらえたらと思うんですが」
「くねくね?」
「勾配が凄いです」
「くねくね♪♪」


そしてこれが立野ダムの平面図です。

天端の円弧は緩くて敷幅もかなりあります。
なので重力式アーチダムの数値的な定義からは外れます。

ここでいう数値的な定義というのは

国際大ダム会議で示されているふわふわしたアーチダムの定義ではなく


米国内務省開拓局の定義の方です。

なので形だけでいうと重力式アーチダムではなく曲線重力式ダムになりますが
大事なのは設計の方です。

立野ダムではアーチダムと同じ三次元応力解析をしているので
造り方もアーチダムと同じになります。
なので重力式ダムで超高速施工を可能にしたRCD工法やELCMといった
面状工法ではなく、柱状ブロック工法で造らなくてはなりません。

アーチダムは必ず柱状ブロック工法で造るものだからです。


見学中、いそいそと往復してバケットにコンクリートを運んでいるトランスファーカー。
動きがとても可愛い。


そしてクレーンが動きだして
うんこらしょっ!! っとワイヤーに荷重が、ぐっ!!とかかった瞬間のこの傾きが良い。


音楽が鳴り響き、あっという間に目的に到着するバケット。
動きに全く無駄がないのが素晴らしい。


「あそこに造られているのが監査廊です」
「プレキャストではないのですか」
「(ここは堤体がコンパクトなので)監査廊の長さも短いので
プレキャストではなく現場打ちです」
「素敵♪」


「今見て頂いているのが常用洪水吐の呑口です」
「真ん中の一番低いところのゲートですね」
「後で近くにいきますので」
「♪♪」


次の見学ポイントに移動する時に
目の前をトラックトロッコが横切って吃驚しました。

「なななななんですかなんですか今の」
「南阿蘇鉄道の工事現場の車両ですね」
「???工事現場の中に別の工事の現場があるんですか」
「はい。この先で鉄橋架替工事を進めています。
それが完成したら全線復旧になります」
「復旧したらここに鉄道が通るんですか」
「はい。駅もできるんですよ」
「駅!!」
「日本一ダムに近い駅」
「ダムが駅」

大井川鉄道の長島ダム駅よりもダムに近い駅。
降りたらダム天端って最高ですね。
聖地出来る。
間違いなく聖地になる。


セメントサイロです。
骨材ビンとセメントサイロとバッチャープラントはセット。


熊本県と言えばクマモンですが
これは目が笑っているからよいですが
標準型は目が怖い。