安威川ダム リップラップ間詰め体験 その2
非常用洪水吐の壁はこんなに高いのです。
20mくらいありそう。
クレーンがいる場所の下流側に常用洪水吐の水の出口があります。
下流側から見るとピンピンにとがった三角のデフレクターが位置を主張しています。
後でよく見える場所にご案内頂けるとの事♪
振り返ると土質試験が終わっていました。
大きなつづらを背負った方が幟を回収していました。
そして座布団が見えました。
よかった。
ちゃんと座布団の上に正座されていたんですね。
土質試験痕。
非常用洪水吐から貯水池側を回って降りてきました。
ドーンと登場したのは選択取水設備です。
取材チームの後姿。
何を覗き込んでいるのかというと…
仮排水トンネルの呑口でした。
安威川ダムは定礎式の後、信じられない速さで背が伸びて
あっという間に堤体ができそうな勢いですが
工事期間中にそれなりの降雨もありました。
工事期間中に一番大きかった出水では
この仮排水トンネルの最大流下能力の半分くらいの水も来たそうです。
なので仮排水トンネル、立派にお仕事果たしました。
「ここを登ります。頭を打たないように気をつけてください」
カンカン音を立てて足場を登っていくと
目の前に突然現れたのは
常用洪水吐の呑口が、どーん!!
真っ白打ち立てコンクリートですごく綺麗♪
つーか、この滑らかさすごい。
型枠どれだけ大変だったろうか。
試験湛水の時にゲートを入れて塞ぐための戸溝があります。
中に入ってみたら丁度収まるくらいの幅でした。
人一人分の幅。
常用洪水吐の呑口は外から見るだけでは分からない
複雑な造りになっていました。
呑口を過ぎてすぐ、天井がこんな風に高くなっていて
空気の吸入口として大きな竪坑があります。
水路トンネルでは流水と同じ速度で空気が流れるので
空気が入るところを作っておかないと陰圧になって
水の流れに影響が出るのだそうです。
平成18年7月豪雨の際に九州地方整備局の鶴田ダムが
放流している時に監査廊の空気を一緒に持っていってしまって
常用洪水吐ゲート室の扉のガラスが全部粉々になったことと
堤体直下の発電所から職員の方々が監査廊を使って
避難しようとした時に、扉が内側に引っ張られて
全く開かなかったエピソードを思い出しました。
あちこちに逃げ道がある監査廊でもそんな同じ事が起きるのですから
トンネルだったら絶対に空気の通り道を作っておかないと
とんでもないことが起きるのでしょう。
水が通るトンネルが無圧トンネルか圧力トンネルかというのは
とても大きな違いです。
この常用洪水吐トンネルではこの大断面すべてに水が充填されて流れる
という形にならないように必ずトンネル内に空気と水が一緒に流れるように
設計されています。
無圧トンネルというのは
「計画流量が自由水面をもって流れ、内水圧が作用しないトンネル」
と定義されています。
安威川ダムや他のダムで採用されているのトンネル式洪水吐はこれ。
圧力トンネルというのは
「計画流量が満流となり、内水圧が作用するトンネル」
と定義されています。
トンネル内が水だけで充填されて流下するもので
ダム式発電所の水の取入口の導水路トンネルなどが該当します。