土木遺産展2018 in 狭山池博物館 その2


水力発電所の特徴の紹介です。

やっぱり純国産・再生可能エネルギーというのが大事。
エネルギーセキュリティの面から考えても水力発電はほんとにほんとに大事!!

そしてすぐれた負荷追従性。
電気がほしい時に瞬時に対応できる能力の高さ。
最新型の火力発電所はすごく早く対応できる仕組みができているけれど
水力の速さにはかなわない。

広域で大停電があったときなどに電気の供給を開始する際も
まず水力の電気で対応する。
なにかあったらすぐ調整できる速さがあるのが水力だから。
安全で瞬時に対応できる水力だからできる技。

水力発電所最高だ♪


水力発電所の説明になります。
発電形式と発電方式の話です。

発電形式は落差をどうやって稼いでいるかという事で
発電方式は水の運用をどうしているかという事です。

発電形式の種類は水路式・ダム式・ダム水路式
発電方式の種類は流れ込み式・調整池式・貯水池式

になります。


ダムの型式の話になり
重力式ダム代表で登場したのは長谷ダム♪

きゃーきゃーきゃー♪
長谷、カッコいい〜♪
漸縮型堤体導流壁最高♪


アーチダムでは当然、黒部ダム。
でも昨年のブラタモリでもきっちりきっちり紹介されていましたが
重力式のウイングがあるのでG+Aと詳しく紹介されました。

今年で大町、扇沢方面からのトロリーバスが電化されて廃止になるので
今年はもうさらに輪をかけて大変な人気になるんだろうなと。


フィルダムでは黒川ダムが登場しました。
あ、意外。
下小鳥ダムかなって思っていたので。
確かにここから近くで行きやすいという意味では
黒川ダムは良いセレクトかも。


そしてアーチダムの詳しい説明にうつります。
関西電力様が管理しているアーチダムは全部ドームアーチ。
殿山ダム、黒部ダム、旭ダム。

中でも最初に造られた殿山ダムは
縦断面で見ると「く」の字になっているデザインです。
国内のアーチダムでもこの形の断面をもっているのは
他に宮崎県の綾北ダムくらいしか知りません。

この断面図はいつ見ても、ぽ〜っ♪となるくらい好き。


日本で建設されてきた52基のアーチダムのうち
殿山ダムより先に竣工していたのは
島根県様の三成ダム(極めて薄い定半径アーチ)
徳島県様の高西ダム(現地で見てもよくわからないけどシリンダーアーチか定角度アーチ)
九州電力様の上椎葉閣下(定角度アーチ)
つまり日本で初めてのドームアーチは殿山ダムなのです。


殿山ダムのスペックです。
和歌山県の日置川の上流で三本の川が合流する場所に造られています。
紀伊半島という事で台風性降雨に対応できる装備が必要になりました。

一番最初の設計では左右にスキージャンプ洪水吐という案もあったらしいですが
最終的に放流水を真っ直ぐ、堤体から50m以上離れた下流に
安全に飛ばすという事でオリフィスゲートが6門装備されました。


そしてダムの安全管理のお話です。
安全管理にも種類があるんですね。
平時の安全管理は巡視に点検に観測。
あちこちのダムで森と湖に親しむ旬間イベントや
見学会でも説明を受けるのでイメージしやすいですが
大切なのは自然災害に対する予測と対策。

アーチダムの堤体の変位は温度によるところが大きいことを
ばっちり示してくれたグラフがとっても分かりやすかった♪


自然災害に対する安全管理ですが
殿山ダムは南海トラフ地震のシミュレーションで
最大震度6強がくるかもという事で安全性の確認をしておられます。


国土交通省が示している「大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)」
というものを元に
「引張応力が堤体材料の引張強度を越えない」
「ダム本体の圧縮破壊やせん断破壊を生じるような応力が発生しない。
もしくは発生しても局所的なものにとどまる」
という2点について、3次元FEM解析で確認しています。

このあたりはちょっと専門的になるので難しい。

講演の後で出てきたお客さんの質問でもあったんですが
ダムのようなマス・コンクリートの構造物は
作られてから経年で強度を増していくという事が
一般の方には知られていないし
街中で目にする薄っぺらいコンクリートの剥離したものとかと一緒にされて
経年=劣化のイメージがあるので疑いの目で見られてしまうという。

五十里ダムなんか今でも強度が増しているというのに
これは説明難しいな〜。
どうやったら一般の人に分かってもらえるのか考えなくては。