早明浦ダムを讃える会 その2


準備が整い定刻になりまして始りました。
早明浦ダムを讃える会。

まず最初に吉野川水系と早明浦ダムの仕事について
早明浦ダム管理所長様からお話を伺います。


まず大切なこと。
四国の気候はこの通り山脈をはさんで北と南で両極端。
この濃い青で示されている3000mm級の降雨量があるのは高知と徳島南部。
早明浦ダムのある四国の中央も濃い青になっています。


吉野川は坂東太郎(利根川)、筑紫次郎(筑後川)と並んで
四国三郎と呼ばれる国内有数の大河川。 (なぜ信濃川に通称はないのだろうか?)
そしてそれらを比べてみると・・・
河状係数がとんでもない。

いつもちょろちょろ流れているのに
いきなりとんでもない流量になるという事がこれから分かります。
1/277って何ですか!!

吉野川水系は四国の利水の要です。
しかし早明浦ダムのダム湖に溜められた水はどこに流れてどの県で使われているかというと
香川県と徳島県だけなんです。


これは愛媛県方面の水の行方。
愛媛県は県内を流れる銅山川の水を確保しています。
別子ダム(住友共同電気)、鹿森ダムのある国領川ルートで新居浜方面に。
富郷ダム・柳瀬ダム・新宮ダムから愛媛分水として宇摩地方に。

つまり愛媛の水は早明浦ダムにたまった水ではないのです。
しかし吉野川下流に届くはずだった分を上流で愛媛県が持っていくのだから
そのぶんを早明浦ダムから補給してもらうという考え方で
愛媛県は早明浦ダム建設にお金を出しています。

高知県も同じように早明浦ダムの上流で瀬戸川取水堰、地蔵寺川取水堰で分水して
高知県営の鏡ダムに水を取っています。
早明浦ダムのダム湖にたまった水をもらっている訳ではなく
ダム湖に入る前にもらっているわけです。

実際に早明浦ダムのダム湖に貯められた水はというと
下流の池田ダムで香川用水と徳島方面に使われているのです。

四国のいのちなんですが
四県全てにダム湖の水を送って賄っているわけではないのです。
上流で取水された分の代替補給はしていますが。


このグラフは早明浦ダムからどれだけ水を流して川に補給をしているかを示したものです。
ペパーミントグリーンの部分はダムから補給がなかった場合の吉野川の流量です。
しかしそれだけだと凄く不足する部分が出てきます。ピンクの部分です。
このピンクの量を早明浦ダムから補給しているのです。

早明浦ダムのお水がなくなるのはこの補給のせいなんです。
西日本最大のダム湖ですから。
こうして莫大な量を流しでもしないと普通は枯れたりしません。


折角の早明浦ダムを讃える会なので自慢してもらいました!!
早明浦ダムの活躍は日本一っ!!

洪水調節も凄いけどなんといってもこの補給量です。
毎年毎年2億t以上は当たり前、時には3億t以上補給しているんです。
そりゃーダム湖も空になるって!!


しかし洪水調節とハイドログラフ大好きな自分にとっては
こちらのデータがやはり物凄く勉強になる。

管理開始からの洪水調節実績です。

棒グラフの青色が流入量
それに対して黄色の部分が放流量です。

グラフ中ほどに引いてある青線が早明浦ダムの計画最大流入量である4700m3/s
下1/3程に引いてある赤い線が計画最大放流量の2000m3/sの線です。

こうして見ると今まで4回、計画最大流入量を超えていることと
2回計画最大放流量を超えていたりしているという事が分かります。

そして計画最大放流量の2000m3/sぎりぎりまで貯留していることもしばしばみられ
早明浦ダムの洪水調節が非常に厳しいのが読み取れる反面
放流なしで全量貯留も多くてホントに変動値が大きすぎて大変な早明浦ダム。


昨年の台風17号(T1317)のハイドログラフです。

“早明浦の800t/s”
これは早明浦ダムが洪水調節体制に入る時のキーワードです。

しかしっ
洪水調節体制に入っても
ゲート放流はない。
バルブ放流もない。

なぜなら
第三次取水制限に入っていたためにダム湖貯水位がとっても低かったから。

流入ピークの最大流入量3537m3/sに達するという直前に
グラフの下の方にかすかに見える緑の線・・。
発電を通して26m3/sの放流が始まりました。

結果
ピークカットではなく全量貯留という
早明浦の必殺技が決まりました。

クレストゲートの越流標高EL325.0mに届かなかったため
ゲート放流はなかったのです。

凄すぎると言っていいんですけど
なんでここまで補給でダム湖貯水位下がっているのか考えると
地味に悲しかったり。

と、吉野川と早明浦ダムの概要をご説明いただき
自分のスライドの発表と重なる部分が多いので
自分の発表は最小限にしようとこの段階で決定。