首都圏外郭放水路 見学 その3


排水機場の建物と首都圏外郭放水路管理支所と龍Q館は同じ建物に入っています。


エレベーターで龍Q館へ。
途中の廊下には地形がよくわかる立体地図。

え・・
これが荒川でこれが江戸川でこっちが利根川…

なんでこんなに川の方が高いの?
いったいこの場所の標高どのくらいなの?
と、立体地図を見てぎょっとなる。

電子国土で標高を見ると
先ほどいた堤防でEL15.7m
この排水機場のある場所でEL15.0mくらいらしい。

怖い。
東京湾からこんなに離れた埼玉県なのに
なんでこんなに標高低いの。

こんなにでっかい川で囲まれて
しかもぺったんこの土地って
堤防を水が越えたら長期浸水被害出るんじゃないの
防災計画大変。


施設見学の前に説明ビデオを見ます。
首都圏外郭放水路はこういう場所に作られている地下河川です。
R16の下なんですね。

断面図などの詳しい情報はこちらでも紹介されています。


5つの立坑をトンネルでつなぎ
堤防が高くたくさんの水を流すことができる江戸川に
それらの水を集めて放水します。
理屈は大阪の毛馬排水機場と同じ。


外郭放水路の一番端っこ。
大落古利根川の水位が上がった時に
越流堤から第5立坑に水が流れ出します

越流堤はスリットだけでフリーフォールかと思ったら
ちゃんと制水ゲートもあるそうです。
最大で85t/s流れ出します。


これは幸松川にある第4立坑の越流堤。
第5立坑の越流堤に比べると小さめ。
最大で6.3t/s流れ出します。


こちらはかなり大きい第3立坑の越流堤。
第3立坑は倉松川と中川から水がきます。
倉松川からは最大で100t/s
中川からは最大で25t/s流れ出します。


第3立坑では立坑の中で水が大暴れしてしまわないように
流れ落ちる水を大人しくさせてコントロール下に置くために
渦流式ドロップシャフトという方法をとっているんだそうです。

どういうものかというと流入する二つの川からの水が
立坑の壁面に沿うようにして流す構造になっているとのこと。


第2立坑の越流堤はまた可愛い。
草が生えているのはご愛敬。
最大で4.7t/sの水が流れ出ます。


そして現在地、庄和排水機場に隣接している
すべての立坑からの水が集まるのが第1立坑です。

第1立坑には底から水がやってきます。


そして直径31.6m、深さ70mにも達する円筒上の立坑をぐんぐん水が満たしていくと・・


土木ファンだけでなく芸術的視点でとにかく有名になった
あの巨大な柱が立ち並ぶ地下神殿の別名を持つ
調圧水槽に水が出ていくのです。


揚圧力に負けないように錘の役目を果たすべく建てられたこの巨大な柱。
無駄なく配置された機能だけを追求した場所のはずなのに
なぜこんなにカッコいいのか調圧水槽。

首都圏外郭放水路という言葉で
立坑やトンネル部分は目立たないので
この調圧水槽だけを想像する人も多いはず。


この場所まで水が毎回出水のたびに来るわけではなくて
大規模出水の時、局所的短時間降雨の時などにここまで水が到達します。

ここまで水が来なくてめいめいの立坑で賄えた時は
別の残水排水ポンプで川へ水を出し基本的に水を溜めず
ドライにして管理するそうです。


調圧水槽まで到達した水は排水機場のポンプで江戸川へでていきます。
ここまでが外郭放水路。