高瀬鉱山見学 その3

石を割ること1時間半。やっぱりクロム柘榴石は見つかりません。
マニアの方が以前ここで相当割っていったなぁという痕跡ばかりです。
少し上に行ったら違う石もあるかなとズリ山に足を踏み入れました。

しかしここのズリ山はただの砂利の山とは一味違いました。
足を踏み出すといきなり20センチくらい沈みます。
そしてそのままもとの場所に滑って落ちていってしまうのです。
必死で登ろうとする私をあざ笑うかのようにクロム鉱石のズリは
さらさらと良い音を立てて足元に広がるばかりです。

目指す高さは約6メートル上の建物の端っこです。
急勾配のこのズリ山を登る方法は....。

一歩出した足が沈む前に次の足を出して進むしかない....。

(どぉりゃぁぁぁぁぁ!)

約2分 全速力で走り続けるごとく足を進めて何とか目指す高さに辿り着きました。


潅木にしがみつきながら建物の端に近づきます。
所々からかなり真っ黒のクロム砂らしきものが見えました。


しがみつきながらなので手を伸ばして中の様子をカメラを潜望鏡代わりに
使って窺います。どうやらここから中には行けそうに無いなと思った時...。

   滑って落ちました。


潅木にかなり叩かれたものの怪我は無く、擦り傷だけですみました。
建物も私が壊した部分はありませんでした。
ただ、ハンカチを落としてしまいました(泣)。
汗を拭いたあと頭の上に乗せておいたのです。
探す気力も足の疲労と滑落のダメージに負けて出てきません。

仕方ないので私と一緒に落ちてきた石をカッチンカッチンと割りつづけます。


目指す石は見つかりませんでしたが緑の結晶がかすかに入った石を
幾つか見つけたので諦めて選鉱場前に戻ります。

一休みしようと思ってもアブと薮蚊とブヨがうるさいです。


気を取り直して反対側に回ると階段を見つけました。

私は何のためにあんなに体力使ってズリ山登っていたのかと
おかしいやら哀しいやら、複雑な気持になりました。