大仁金山 見学 その1
静岡県の伊豆には金を採掘していた鉱山がたくさんありました。
大仁金山はそのうちのひとつで、非常に立派な選鉱場を持っていました。
その素晴らしい選鉱場は2000年に解体されました。
跡地はコンクリートで固められて階段状になっていると聞きました。
山の斜面の大きなコンクリートの段。
それは自分にとって神子畑選鉱場をイメージさせるものでした。
神子畑より4年早く、大仁金山の選鉱場はその姿になってしまいました。
神子畑選鉱場が撤去されるときに跡地がどうなるかを考えました。
神戸大学の建築歴史学のチームが選鉱場をそのまま残しての
利用について素晴らしいプレゼンテーションをしていたのを現地で見ました。
しかし管理していた三菱の意見は全く異なり
建物は全て撤去、
階段状になったコンクリートの段だけが残るという事でした。
そしてそのとおりの姿になってしまった神子畑選鉱場。
真新しいコンクリートの段は草の生える隙も無いほどに固められてしまいました。
10年後にはどんな姿になっているのか
そのコンクリートの白さが色あせて周囲の緑とどの様に同化していくのか。
現場で何度も考えました。
大仁金山の選鉱場を見ることで神子畑選鉱場がこの後
どんな風になっていくのか手がかりを得られるかもしれないと思って訪れました。
伊豆には以前一度訪れていますがあまり風景を覚えていなかったために
現地で迷う羽目になりました。
地図で確認しているのに現地で方向感覚を失って
何度も同じ道をぐるぐる回りながらようやく辿り着きました。
大仁金山の選鉱場周辺は温泉施設になっているのです。
温泉施設の名前は『百笑いの湯』といいます。
閉山後に鉱山を所有していた帝国産金興業株式会社は
敷地内から温泉が湧出した事からヘルスセンターをこの場所に建設しました。
そのヘルスセンターも20数年前に営業を中止しました。
しかし温泉ブームや観光資源の開発とあいまって
選鉱場の前に現在の大きな温泉施設ができたのが2001年です。
選鉱場の解体工事の翌年という事になります。
温泉施設は経営も順調なようで広いパーキングが造られていました。
そのパーキングの前にそびえる山に選鉱場はありました。
選鉱場の前も工事中でした。
すぐ向こうには住宅もあります。
正面から登れるものなら登りたいと思っていたのですが
どうも人目を避けて登るのは難しいようです。
逆に管理している人が居てくれたならそれはそれで
お願いして見せていただく事もできるのですが
状況が悪すぎる早朝の雨の中でした。