直島見学 その4

島内には今もたくさんの人が住んでいます。
新しい住居もたくさんあります。

私は(もう病気かもしれない)カラミ煉瓦探しに夢中です。
古い建物があれば使われていないかと目を凝らします。


卓球場から近い社宅群の路地です。
たくさんの社宅の中にはまだ使われているものも多くありました。
階段状になった住宅地が島内のあちこちにありました。


道路沿いにカラミ煉瓦の気配を嗅ぎ付けました。
このお宅はお住まいの方がいます。
立派な立派なカラミ煉瓦です♪

メジャーを取り出してサイズを測ろうとしたその時です。
後ろに車が止まりました。車の中からおじさんが話し掛けてきました。

「その煉瓦に目をつけるとはいいとこ見てるねぇ!どこから来たの!」
「おはようございます♪」
「それはカラミといって銅を精錬したあとに出来る滓を固めて作った煉瓦だよ」
「ハイ♪カラミ煉瓦を見たくてうろうろしてました♪」

お仕事帰りの三菱マテリアルの社員の方でした。
観光客は皆ベネッセばかりを目当てに来る中、カラミ煉瓦を熱心に見ていた
よそ者に懸念も持たずに熱心に説明をしてくださいます。


カラミ煉瓦以外に鉱滓を使ったものはありますかと問うと
横の家をビシッと指差されます。「あの瓦はカラミでできてる」

うおぉぉっ!カラミ瓦!

遠方から来た、直島の産業しかも自分達の働いている地元の誇りの会社に
ついて興味津々の来訪者に、この通りすがりのおじさんは吃驚するほど
おもてなしをして下さいました。

「朝御飯食べたか?」
「いえ..また後で..」
「遠慮はいらん。うちで食べていきなさい。うちのおばちゃんに言っとくから」
「えええっ?そんな、結構です。突然ご迷惑かけるわけにはっ..」
「迷惑なんかかからんよ。わしも帰ったら食べるしな」
「..で、でもっ...」
「で、この島のどこが見たい?」
「え..鉱山関係の建物とかカラミとか遺構を..。精錬所も見たいなぁと..」
「精錬所が見たいのか?」
「ハイ!!」
「よし!乗りなさい精錬所見せてあげる」
「え゛...」

パワフルおじさんの怒涛の喋りに圧倒され、「ガイド付き島内30分のドライブ」
に恵まれました。

その後にあつかましくも朝ご飯のご相伴に預かり、直島の写真主体の紹介本
と備前焼のビアジョッキとカラミ瓦を頂いてしまいました。
(断じておねだりしたわけではありません。全て御好意によるものです)
直島の役場が知事選挙の不在者投票の為に土曜日でしたが開いていると
いう事も教えて頂きました。


島内のあちこちに散らばる社宅群。
古い建物も随所に残っています。
これは「鷲の松世話所」の看板がかかっていた建物です。
用途ははっきりしません。


その前の道沿いには社宅群。ここの社宅の土台は皆カラミ煉瓦でした。