直島見学 その3

フェリーの乗務員の方が言っていた『ベネッセ』。

今この島に訪れる観光客の殆どはベネッセコーポレーションが出資している
直島文化村・ベネッセハウスに向かう人ばかりなのです。

犬島の精錬所跡で私をガイドしてくださった管理人の方から貰った
パンフレットが手元にあります。
直島は北部が三菱マテリアルの産業ゾーン。
中部は住居や学校、公共施設、港の生活ゾーン。
そして南部は文化ゾーンになっています。
まるでテーマパークのような区分けです。

実際に行ってそれが実施されているのを見ると奇妙な感覚になりました。

直島文化村はベネッセコーポレーションの国際キャンプ場や美術館の中に
住むというコンセプトの美術館ホテル・ベネッセハウス、その島内の廃屋を
利用した現代美術の方々の作品展示を行なった「スタンダード展」で
2001年に大賑わいになった所です。

安藤忠雄の設計した建物。
本村集落の古い民家をアーティストが甦らせるという「家プロジェクト」。
三菱マテリアルの敷地内でも展示はされていたといいます。

私には全く興味がありませんでした。
現代美術というものに、てんで関心が無いのです。
そういうものを見るならダムを見ます。
あの巨大さ、圧倒的な存在感にかなう現代美術など無いと思います(馬鹿)


とりあえず車を停められる所を探して辿り着いたのがここ、「卓球場跡」でした。


何故卓球場跡なのか..看板が出ているからです。
卓球場だったのでしょう.....。うーむむむ。
何故この建て方なのか、卓球場というものは独立して立てる必要があるものなのか。
さっぱり判らないのですがとにかくここは卓球場跡で、例の「スタンダード展」の
作品展示場所として使われていた場所でした。
建物に不釣合いな「いきなり造成パーキング」はそのために作られたものでした。

アルファベットの入った板ガラスがはってあります。
中には何の展示物もありません。
展示物の無いもともとの建物はガラスのせいで余計痛々しく見えます。

展示期間が終わったら入れ物に用は無いわけです。


裏に回ると草ぼうぼう。
今は公園などでも滅多に見かけなくなってしまった遊動円木がありました。
金属製の柱だけになって...。


「スタンダード展」の風が吹きすぎてここはすっかり静けさを取り戻したようです。
犬島で最近催された新劇と同じです。
必要なのは、今、自分達がしたい事に都合の良い入れ物だけ。
したい事が済んだら入れ物に興味なし。それがどうなっても遺構の寿命を
縮めたって平気なんでしょうか。

どうせ崩れて消え去っていくものだから有効利用してからという発想なのか
意図はわかりませんが「スタンダード展」が終わった今、ここを訪れる人は
どれほど居ると言うのでしょう。来た所でこの痛めつけられた空虚な建物を見て
どんな印象を受けると思うのでしょう。

人が立てた建物が人のために頑張って人に使われて本望というならそれも
良いとおもいます。でもその姿はあまりに痛々しいのです。


卓球場の横には堆積池がありました。
真緑の水には魚が居る様には思えませんでしたが木に白鷺が留まって
水面をにらんでいました。今日の朝御飯は蛙でしょうか。


水が少なくなっているのか沈んでいた自転車も日向ぼっこしています。