撤去の後で 3


選鉱場の段はモルタルで固められました。
重金属が雨水で流れ出さないように
人が手を入れた山が崩れださないように


インクラインは残りました。
横にあった建物は無くなりました。
この横にあった木製の黒電話のボックスも無くなりました。


事務所は現役で健在です。

 

散策していると楽しそうな声が聞こえてきました。
すぐそばに建てられた高齢者の福祉施設にディサービスで集まった方々がお花見に出てこられたのです。
桜をバックに写真撮影。
インクラインを見上げる人。
鉱山の話を若い職員の方にお話しする人。
そして無くなってしまった鉄工場の中に続いている軌跡の上を歩きじっと佇む人。

この方々が活躍していた時代にこの場所にあった活気。
桜の頃には山神祭。
小学校の入学式。


今は何故こんなに静かなのか。

見ている人の中にはここに今ある静けさがむしろ不思議に感じる方もいたのではと思います。


選鉱場の前に残る大シックナー。
ここだけはまだ工事のフェンスが残っています。

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