犬島 晩秋の朝 その10

遺構の全ては残らない。
でも撤去されたり朽ちて崩れていくことより残る方が
その遺構に惚れている人には嬉しいはずです。

本当に綺麗な遺構が老朽化を理由に今まで幾つも
撤去されてなくなっていきました。

遺構を保存して観光地化している場所はいくつか在りますが
殆どはその遺構が今まで持っていた迫力と雰囲気を無くして
空虚なオブジェとして残っているばかりです。
それだけにこの犬島の精錬所跡が産業遺構を生かして
雰囲気を損なわず美しく快適で地元に経済貢献が出来る
最も進化した形の遺構保存の模範になって欲しいという
気持が起きてくるのです。
煙突だけしか残さないなんて言わないで欲しいです。
倉庫も煙道も発電所も残してください。
個人の得手勝手な言い分だっていうことはわかっています。
ただ、そうなったら良いなと夢見ているだけです。

砂地の下に顔を出している硬い物は岩ではなくカラミです。
敷地のあちこちで見られます。

今度来る時にもまだ立っていてくれますか。
カラミ煉瓦と一緒にここに居てくれますか。
観光地化されてその雰囲気が崩れ去ってしまっても
たとえ煙突しか残らなくても
美術館と融合してしまっても
敷地のあちこちに積もる水砕カラミの真っ黒な砂がなくなっても
やっとの事で成長し始めた松が切り倒されても
煙害に強い植物が長い時間をかけて敷地に作り上げた土の上に
安っぽい樹木が植えられて様相が変わってしまっても
それでも私は又幾度となくこの島を訪れると思います。