川の向こうに 9

発電所に行く為に川を渡る必要がありました。

手荷物は川を渡る時用のタオルと服を入れるビニール袋でした。
そしてまずは川に下りようと降り口を探しますが
路肩がえぐれた土砂崩れ跡以外にルートがありません。

6〜7mの高さの土手を殆ど滑落の勢いで川に下りました。

降りてからかなり帰りが不安になりました。
ズリ山登攀と同じ目に合いそうな気がしたのです。
でもそんな事を言っていても仕方が無いので
とにかく川を渡る為に靴とズボンを脱いで短パンになり
それをビニール袋に詰めて川渡り開始です。

 

・・・・・・・・・冷たいっ!!

こんなに冷たい川を向こう岸まで無事に渡れるんだろうか

川の半ばまで来た時に手に何かを感じました。
ふと見ると右手の人差し指に山蛭がついていたのです。

 

げげっ と思いましたが慌てずにライターでちりちりお尻を焼いて撃退。
こんな事をしている間にもどんどん体温が足から奪われていきます。

何とか対岸に渡りついた時、靴を置いてタオルで足を拭こうとしたら

足にすでに3匹の山蛭が・・・

ひとつずつ焼きを入れて撃退。
しかしたっぷり血を吸われていてたらたらと血が止まりません。
かっこ悪いなぁぁ・・・

血だらけの足を靴にねじ込み
とにかくこんな事でへこたれたら
来た甲斐がないと
動揺を隠しつつ発電所に向かいます。


建物の入り口はすっかり草に覆われています。
水の垂れる場所には苔が生え
鉄錆びの彩りも美しいです。


ぽかりと開いた入り口には赤く錆びた鉄の扉。
その手前に小さな建物があります。


屋根の上の『T』型の煙突を見ると
この小さな建物はお風呂だったのではと思います。

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