旧脇ヶ畑村 杉 その1

ぼんやりと好きな絵を眺めているうちに茅葺の屋根の民家を見たくなりました。
移築されたものでなく、公園化しているわけでもなく、風景に溶け込んでいる
家屋を初秋のススキと一緒に見たいと思いました。

滋賀県の絵を多く画いている画家、ブライアン・ウィリアムス氏の画集を
引っ張り出してみました。
そこには写真よりも叙情的で精密な湖国の民家が幾つも閉じ込められています。

茅葺の家屋を今でも使いながら維持されているマキノ町の在原集落に
行きましたがイメージが違いました。

湖の反対側に過疎の地があると耳にしていたので雨が降り続く中
ふらりと行く事にしました。

細い山道を登ってくると多賀大社の御神木が説明書き付きで立っています。
ここは多賀町の「杉」集落への道です。

冬季閉鎖になるこの県道は通る人も少なく、荒れているとおもっていました。
しかし、吃驚したのはキャタピラの跡です。
下界から延々と急勾配の車一台分の幅しかないこの県道に、土の汚れと
アスファルトの削れ具合も新しいキャタピラの跡がついていました。

道路の拡幅なのか、土砂崩れの対応なのか、はたまた造成なのか..。
いきなりショベルカーのお尻で通行止めになるのは避けたいと思いつつ
ゆっくり峠を登ります。

いきなり視界が開けました。目の前に民家が現れます。

集落入口に造成地がありました。
キャタピラはここに来る為に通っていたようです。
お仕事の方の姿は見えません。造成地の端っこに車を停めました。

ススキが周囲に茂っています。
向こうに見えるのは残念ながら瓦葺の屋根です。

屋根が落ちてしまっていますが藁葺き屋根の家屋です。
山の上なので茅葺ではないようです。